【著者】ジャネット ウィンター (イラスト), ジョナ・ウィンター (文), さくまゆみこ(訳)
【出版社】すずき出版
ざっくり絵本紹介
★ 可愛らしい絵で着々と恐ろしい計画が進む。原爆開発のヒンヤリした恐ろしさを感じるストーリー。
★ 原爆投下を考えるきっかけに。日本とアメリカの原爆への向き合い方の違いにも。
★ 人間が突き進む進歩、開発、発明の神秘性と恐ろしさを感じる。
★ 親子共著の絵本(文が母、絵が息子)なので親子で読みたい。
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どのようにして核の実験がおこなわれたのか?
それは極秘の計画だった。
今から80年ほど前のお話しです。
ごくごく普通の市民も知らず知らずのうちにこの実験に巻き込まれ、ごくごく普通の日常の中で着々と計画は遂行され、実験が行われていくのです。
この絵本の一番の読みどころは「著者のあとがき」
絵本で描かれた実験よりも、わずか見開き2ページの「あとがき」で文字で書かれた真実の方が数百倍恐ろしい内容です。
被爆国日本国民として、ぜったいに知っておかなければならない真実です。
原爆を投下したアメリカを恨むのではなく、今後、核とどう向き合っていくべきなのかを考えるきっかけになる絵本です。
夏が近づくとテレビでも取り上げられることの多くなる原爆投下のニュース。
忘れてはいけませんが、日本は原爆投下を唯一体験している国なのです。
8月6日に広島、8月9日には長崎に原爆が投下され、多くの市民が犠牲にあいました。
戦争中なんだから仕方ない、終戦を迎えるためには仕方ない、と考える人もいる原爆投下について、真剣に向き合ったことはあるか?と毎年自分に問いかけてみるきっかけになる絵本です。
核が戦争や争いごとの抑止力となっている現在の世界。
核を保有している国が多数ある現在の世界。
日本は原子力に対して痛い目にあいながらも、今後もどのように向き合っていくのでしょうか?
世界で唯一の被爆国日本がどうして声を大きく上げて、核に向き合うことができないのか?
そもそも原子爆弾はなぜ作られたのか?
科学者たちはどうしてこの恐ろしいモノを、恐ろしいとわかっていて作り出してしまったのか?
科学という魔法にとりつかれてしまっていたのか?
本を読み終わった後も、
もしこの時実験が失敗して核が製造されなければ。
もしだれかがこの実験をストップさせてくれていたら。
もしこの時に実験だけで済んでいたら。
もし核の恐ろしさに気づいて禁止していたら。
たくさんの、もし、もしが頭に浮かびました。
疑問もたくさん浮かんできます。
夏に親子で、大事な人と読んでほしい絵本。
この本は、絵を描いたのがジャネット・ウィンター、文章をジャネットの息子ジョナ・ウィンター が書いた親子合作の絵本なので、特に親子で読んでほしいです。
この絵本を描いたのはアメリカ人親子です。
つまり、原爆を作って投下した国アメリカから見た核について描かれているのです。
私たち日本人は『はだしのゲン』『黒い雨』といった、どちらかというと原爆を投下された日本のすさまじい悲惨さが書かれた本を読んで育っています。
『この計画はひみつです』では、原爆が投下され被爆した恐ろしさは描かれていません。
それでも、原爆や核のもつ秘密めいた恐ろしさがじんわりと描かれています。
日本で書かれた原爆関連本とは違った視点、アメリカ側の視点に立って原爆・核の恐ろしさを描いている絵本なのです。
『この計画はひみつです』基本情報
アメリカの絵本
●文字:漢字あり(ふりがなつき)
●文字量:少な目
●絵:可愛らしい絵なのに、どこかヒンヤリ恐ろしさがただよう不思議さあり
●対象年齢:書かれた本当の怖さがわかるのは小学生高学年
☆大人にもおすすめ 親子で読んでほしい
●ページ数:39ページ
●サイズ:縦28.4 x 横21.4cm
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