2020年 難関中学入試(国語)で出題された小説
中学入試はびっくりの世界だった
中学受験はまったく未知の世界という人にびっくりしてほしい話があります。
実は中学受験の「国語」では、現代作家さんの小説が多く出題されているんです。
しかもここ数年に発行された小説が登場しています。
私を含めて、受験にでるような文章は芥川・太宰・夏目といった教科書に載るような作家さんの小説だと思っていた人、かなり時代遅れみたいですよ(笑)。
2月初旬に終わったばかりの2020年の中学受験でも、びっくりするような小説が出題されていましたので紹介しますね。
驚かないでくださいよ(笑)
難関中学ではこの作品が出題された!
2020年中学入試、難関中学で出題された作品はこちら。
ここ数年で刊行されたばかりの現代児童文学が多く出題されています。
大人の私もふつうに「読んでみたいな」と思う魅力的な作品ばかりでびっくりです。
【参照:「Z会エクタス 栄光ゼミナール」ホームページ・「四谷大塚ドットコム」過去問データベース】
【筑波大学附属駒場中学校】
ここ数年100人を超す東大進学者を輩出している名門中学校。
北海道出身の作家、朝倉さんの作品が出題されました。朝倉さんは2009年40歳の男女を描いた『田村はまだか』で第30回吉川英治文学新人賞受賞しています。
●朝倉かすみ『ぼくは朝日』
2018/11発行
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小学4年生朝日くんを中心にした家族、マイペースなパパとママ(朝日くんを生んだときに亡くなった)の代わりをつとめるしっかり者の姉と猫くろちゃんの話。
北海道を舞台にした昭和の雰囲気漂う家族にほっこりします。
【開成中学校】
言わずと知れた難関中学の代名詞のような開成中で出題されたのは、朝比奈さんの作品でした。
朝比奈さんは2006年に『憂鬱なハスビーン』で群像新人文学賞を受賞してデビューした女性作家さんです。
●朝比奈あすか『君たちは今が世界』
2019/6発行
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六年三組の調理実習中に「洗剤混入事件」が起きた!
自分もまるでクラスの一員のような気持ちで本を読み進めてしまいます。
【麻布中学校】
港区広尾という一等地にあり、政治家を多く輩出している名門中学。
大人にも人気の女性作家さん宮下さんの作品が出題されました。宮下さんの作品も中学入試ではよく出題されます。
●宮下奈都『つぼみ』(「まだまだ、」)
2017/8発行
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宮下さんの代表作『スコーレ№4』のスピンオフ三編、(「手を挙げて」「まだまだ、」「あのひとの娘」)が含まれた短編集です。
「まだまだ、」では高校生の紗英が、習いに行った活け花教室で中学時代の同級生朝倉君と再会します。紗英は彼との会話や生け花を通じて”あること”に気づきます。
紗英と朝倉君の関係も可愛いですよ。
【武蔵中学校】
お~!男子校御三家のひとつ武蔵でも、宮下小説が出題されたんですね。
事前に1冊でも宮下小説を読んでおくと、宮下さんへの馴染みができていいかもしれませんね。
●宮下奈都『つぼみ』(「なつかしいひと」)
2017/8発行
短編集のうちの1篇、母が亡くなり東京から母の故郷である九州に父と妹の一家3人で移り住んだ僕・園田太一が主人公のストーリー。
なかなか新しい生活になじめない太一が本屋で出会った少女との不思議な出来事を描いた作品です。
【桜蔭中学校】
女子御三家の一角、桜蔭では児童文学作家のまはらさんの作品が出ました。
まはらさんは『鉄のしぶきがはねる』で2011年度坪田譲治文学賞、第4回JBBY賞を受賞している作家さんです。
●まはら三桃『思いはいのり、言葉はつばさ』
2019/7刊行
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友達のジュアヌが見せてくれたハンカチに刺繍されていた美しい文字、女の人だけが読み書きできる女書(ニュウシュ)だという。
中国 ・湖南省で実在した文字、女書(ニュウシュ)がテーマになった児童文学。
この美しい文字が生まれた背景には辛い「女」たちの歴史もあることを教えてくれる、大人でも考えてしまうことが多い小説です。
【早稲田実業学校中等部】
中学入試の定番ともいえる朝比奈さんの作品が出題されました。
●朝比奈あすか『人間タワー』
2017/10刊行
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「人間タワー」で描かれるのは、あの”組体操”。小学校の運動会の花形でありながら、最近ではその危険性がマスコミなどで騒がれていますね。
その問題の組体操を通じて親、子供、教師などが繋がっていくストーリーです。
だれもが不器用だった自分の小学校時代を思いだしてしまうはず。
【慶應義塾普通部】
慶應(日吉)では筑駒と同じ作品が出題されました!
難関中で同じ作品なんて、朝倉かすみさんスゴイ。もはや中学受験に必須作家ですね。
●朝倉かすみ『ぼくは朝日』
【豊島岡女子学園中学校 第1回】
女子御三家と並ぶほどの難関中学校でも、大人気作家湊かなえさんの作品が出題されました。
湊さんファンなら試験中でもうれしくなっちゃいますね。
●湊かなえ『ブロードキャスト』
2018/8刊行
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高校生の町田圭祐は中学時代「夢」だった陸上をある理由から諦め、なんとなく放送部に入部することに。
陸上への未練はありながらも、どんどん放送部の面白さに目覚めていくのだが。圭祐は、新たな「夢」を見つけられるか?
大人がよむと「夢」を持っていた学生時代、なにかに夢中になっていた時代が懐かしくも感じられます。
出題小説を読んでみよう
中学入試まで時間があるこの時期になら、本を読む時間もまだまだあるはずです。
2020年に出題された小説を親子で一緒に読んでみたらどうでしょうか。
もしかしたら、同じ小説が今後も別の学校で出題される可能性もありますし、同じ作家さんの別の小説が出題されることもあるかもしれません。
お子さんも(ご本人も)馴染みのある小説が中学入試で出題されると、精神的にも落ちつくことができると思いますよ。
1点2点でも点数を上げるために親としても(本人も)できることは何でもしておきたいですね。
まとめ
2020年 難関中学入試で出題された小説本はいかがでしたか?
中学受験にはこんな魅力的な小説がたくさん出題されているんだとびっくり。
しかも今回紹介した本6冊は2017年~2019年に発行された新しい本ばかり!あっという間に受験問題として使われていることにも驚きました。
中学受験に関係なく読んでもいいし、中学受験に向けて親子で一緒に読んでも楽しめそうですね。
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