「バスキア展」森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)
☝展覧会パンフレット
バスキアを知っていますか?
現代アートに詳しい人でない限りほとんどの人が知らなかっただろう彼の名前は意外なことで日本中に広がりました。
そう、昨年ワイドショーであの元ゾゾタウンの前澤さんがバスキア絵画を所有していることが話題になったからです。(今回その作品も出品されています)
実はバスキアは死後30年ほどしか経っていないのにも関わらず、現代アートの世界では巨匠ともいわれるような存在の画家です。
今回の展覧会は日本で初となるバスキアの大規模展覧会で、今後日本ではこの規模の展覧会はいつ行われるかわからないともいわれるほどのものなのです。作品に好き嫌いはあるかもしれませんがこの貴重な機会はぜったいに見逃せません。
今回、現代アートはまったくわかりませんがワイドショー好きの私が行ってきたバスキア展の内容をレポートします。
「バスキア展」混雑状況
☝《ナポレオン》1982年
当日の混雑具合
展覧会はじまってすぐ、連休中日の5時半ごろに会場に入りました。
混雑するのを予想して夕方遅くに狙いを定めました。
チケットを買うのに並んだのは10分ほど。会場前では20分ほど並ぶと書かれていましたが実際は10分ほどでチケットを購入できました。
ちなみに同じ森アーツギャラリーで開催中の「塩田千春展:魂がふるえる」はチケット購入まで40分待ちになっていてかなり長蛇の列でした。
52階へのエレベーターは待ち時間無くすぐに乗れました。
会場に入るのも並ぶことなくスムーズに入れましたが、珍しいことに会場に入る前に手荷物検査がありました。
バックの口を開いて中身をみせる程度です。
☝《炭素/酸素》1984年
会場内には人が多くいましたがマイペースで鑑賞できました。
順路が決まっているわけではなく、みんな好きなように作品を鑑賞しているのでどこかで人が混雑してしまうということはありません。
美術館というよりギャラリーのようなカジュアルな雰囲気でしたので、混雑というよりもにぎわっているなという感じでした。
この後の混雑予想
☝《フーイー》1982年
若い人の間で人気はぐんぐん上がってくるはず。
なぜなら最近SNSを使った宣伝が得意な森アーツセンターギャラリーでの展覧会だからです。話題になったら一気に人気が高まること間違いなし。
展覧会のすごさが認知された後はまんべんなくどの日も特に休日は混雑しそうです。
混雑を避けた鑑賞のねらい目は平日の夕方~夜になりそうです。
他の美術館と違って、森アーツセンターギャラリーは普段20:00(最終入館 19:30)まで開館していますよ。
一番の混雑はどこ?
作品自体が大きく離れた場所からでも見やすいこともあり、ほどよく混雑は分散されていました。
しいていえば、ノートのページを展示してある場所が一番混雑していました。
ここではバスキア直筆のノートの1ページ1ページ、イラストや文字が細かく描かれたものが展示されています。
多くの人が細かい部分をじっくり見入ってしまうため、この周辺の混雑は仕方ないかなと思います。
知っておきたいバスキアの基礎知識
ジャン=ミシェル・バスキア
1960年アメリカニューヨーク、ブルックリン生まれ。父はハイチ人、母なプエルトリコ出身。
アンディ・ウォーホールやキース・ヘリングなどとの交流を深め、1980年代のニューヨーク・ダウンタウンのアート界で旋風を巻き起こす。
1988年わずか27歳で亡くなっている。
☝展覧会パンフレット
活動期間はわずか10年。作風は20世紀のモダニズム美術の流れを踏まえながら、ジャズやヒップホップ、アフリカの民俗や人種問題など黒人画家ならではの主題を扱ったものが多い。
活動当時も評価は高かったが没後はさらに名声が上がり、今や20世紀美術最大の巨匠の一人となっている。
お楽しみ1 撮影可能作品あり
うれしいことに撮影可能な作品が11枚もあります。
バスキアに関する日本語の本はほぼ無いという現状の中で、バスキア作品を写真といえども手元に残せて好きな時に楽しめるなんて感動です。
展覧会会場にカメラマークがついている作品のみ撮影可能です。会場を出る前にきちんと11枚撮影できたか確認しておきましょう。
お楽しみ2 音声ガイド
☝《自画像》1985年
入場者全員に音声ガイドが無料で貸出されます。(その分なのかチケット代金はお高めです)
作品にキャプション(説明)はついていないので、作品をより深く知るためにはこの音声ガイドが必須です。
音声ガイドのナビゲーターは吉岡里帆さん。彼女の癒しの声でエネルギッシュなバスキア作品を包み込んでくれます。
ちなみにこの音声ガイドは電話のように耳元にガイド機をあてて聞くものです。イヤホンジャックがついているので、持参したイヤホンが合えばイヤホンを使えます。
お楽しみ3 次回無料チケットがもらえる
なんと次回の入場が無料になるという特典があります。(制約があり。11月1日までに入場、2度目の入場は平日の午後5時~以降の入場に限る、11/8まで。)
出口の横にあるスポットで、担当の人にチェキで写真を撮ってもらいます。
次回チケットを購入する際にそのチェキの写真を見せると、なんとチケット代が無料になるそうです。
平日来ることができる人にはとってもお得な特典になりますので、必ずチェキで写真を撮ってもらうことを忘れずに!!
*詳細は「バスキア展」公式ホームページで確認してください。
【対象】 11月1日(金)までにご入場で、会場出口にて所定の写真撮影をされた方。
【二度目の入場可能日】 11月8日(金)までの平日17:00~20:00(入場は閉館の30分前)
お楽しみ4 おしゃれさん集合
さすがバスキア展、会場内にはおしゃれな人たちがたくさん集まっていました。
若い人が圧倒的に多く(夕方~夜だった時間もあり)、モデルさん?らしき人や、ファッション業界関係らしき人、服飾系の学生さんぽい人などなど。個性的なファッションの人が目立ちました。
会場はニューヨークのギャラリーのような雰囲気になっていました。
ただ、音声ガイドが耳に当てて聞くタイプのモノなので、まるでみんなが携帯電話で電話をしているように見えます。平野ノラさんのバブリーコントのようにも見えてしまい笑えました。
お楽しみ5 前澤さんのバスキア
☝《無題》1982年
ワイドショーでバスキアを知った私にとっては前澤さんの所有する作品はぜったいに見逃せません。
作品はわりと始めのころに登場します。撮影も可能でした。
ちなみにこの作品はパンフレットでも大きく使われていて、この展覧会の目玉作品にもなっているようです。
たしかに素人目から見ても、他のバスキア作品よりも前澤バスキアかなりカッコいいです。日本人がこの作品を所有しているなんてちょっと誇らしくなってきます。
前澤さんの彼女にならなくても(なれなくても)、この展覧会で前澤バスキアは見ることができますよ。
見どころポイント
☝《プラスティックのサックス》1984年
バスキアと日本との関りを知る
☝《メイド・イン・ジャパンⅠ》1982年
27年間という短い生涯のなかでも日本に来日して6回以上の個展を開いたバスキア。
「YEN」という文字や、ひらがなを作品に取り入れ、《メイド・イン・ジャパン》というタイトルの作品も残しています。
そんなバスキアの作品には彼が活躍した1980年代バブルにわいていた強い経済力をもった日本の姿が描かれていて、今では考えられないエネルギッシュな日本を感じられます。
体がスケルトン
一見とっても不気味なのですが、体がスケルトンで内臓や血管が見える体を描いた作品が多くあります。
実はバスキアは小さなころ交通事故にあい脾臓を摘出しています。その時に母親からもらって読んだ『人体の解剖学』という本が作品に大きく影響しているそうです。
また黒人だったバスキアは差別などに苦しんだといいます。
でも体がスケルトンの作品をみると「いろんな人種や個性をもった人間がいるけれども、一皮むいたらみんな同じに内臓があって血液が流れているんだよな~」と強く感じます。
エネルギッシュな作品
☝《消防士》1983年
文字や記号も絵画作品の一部となっている、いたずら書きのようにも見えるバスキアの作品はとにかくパワーがすごい、エネルギッシュです。
作品を見ているだけで楽しくなってきて元気になってきますし、彼が好きだったジャズやヒップホップなどの音楽がながれてきたら踊りだしたくなるほどです。
モチーフ好き
☝《無題(ドローイング)》1986年
王冠のイラスト、ヒンズー教の塔PAGODAのイラストと文字、「YEN」という文字だったり、いろいろな作品で同じモチーフが繰り返し描かれています。
違った作品のなかで同じモチーフが使われているのを見つけるのも楽しいです。
所要時間
☝《オニオンガム》1983年
私の場合は50分くらい
一回すべて作品を見た後、気になった作品のみをじっくりと再鑑賞しての時間になります。
インスピレーションで好きな作品はじっくり、興味のない作品はさっくり鑑賞しました。
現代アートはどう鑑賞していいのわからない、難しいというイメージがあったので、今回はただ楽しく作品鑑賞をしようと友達を誘って二人で鑑賞しました。
2回目無料チケットを使えるならば、1回目はさらっと鑑賞、2回目はもっと深めに鑑賞という楽しみ方もできますね。
おすすめ本
バスキアについて知ることのできる雑誌はこちら。『pen』2019年10月1日号。
売り切れ注意です。
バスキアの生涯から、出発点、初期から才能を認めていたギャラリストの証言、ジャズにインスパイアされた傑作、差別への怒りが原動力、絵画に描かれた言葉の意味などなど。
バスキアをまったく知らない人にもおすすめの一冊です。
▼下をクリックするとアマゾンへ。
「バスキア展」基本情報
・会期:2019.9.21(土)~ 11.17(日)※休館日9月24日(火)※会期は短め
・開館時間:10:00~20:00(最終入館 19:30)
※ただし9月25日(水)、9月26日(木)、10月21日(月)は17:00まで(最終入館 16:30)
・会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
・チケット:当日一般 2,100円
▼▼詳細は「バスキア展」公式ホームページをみてください。
まとめ
ワイドショーでバスキアの名前を知った程度の私すら「バスキア展」は行ってよかったと思える展覧会でした。
会場中あらゆるところでバスキア作品のパワーを感じ、作品を鑑賞している人を含めて会場全体がバスキア作品を楽しんでいる雰囲気がありました。
こんなエネルギッシュな展覧会って体験したことありません。
あなたもぜひバスキア作品のパワーを体感してみませんか?そしてワイドショーをにぎわすだけではない前澤さんのアートを見る目にもおどろくはずです。
【参考:「バスキア展」パンフレット・雑誌『pen』2019年10月1日号】
▼2019年9月に楽しめる展覧会を集めた記事も読んでみてくださいね。