『松方コレクション展』国立西洋美術館(上野)
☝ミレイ《あひるの子》1889年
ようこそいらっしゃいました。松方コレクションに。西洋美術館の人気者の女の子がお出迎えです。
東京上野にある国立西洋美術館でおこなわれている『松方コレクション展』を見てきました。
西洋の巨匠たち(主に印象派のメンバー)の作品が勢揃いした展覧会になっています。
歴史の大波をくぐりぬけてきた絵画や彫刻たちに出会えます。
『松方コレクション展』基本情報
●会期
2019年6月11日(火)〜9月23日(月・祝)
●場所
国立西洋美術館(上野公園)
●チケット
大人一般 当日券1600円
●開場時間
午前9時30分~午後5時30分(金曜日、土曜日は午後9時まで)
*入館は閉館の30分前まで
●休館日
毎週月曜日、および7月16日(火)は休館
※7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)
●展覧会ホームページ
▼▼こちらから見ることができます。
https://artexhibition.jp/matsukata2019/
松方コレクションにびっくり
☝ルノワール《帽子の女》1891
松方幸次郎(1866-1950)
神戸の川崎造船所を率いて、世界第一大戦の特需により事業を拡大した。
1916-1927年頃ロンドンやパリで美術品を買い求めた。その数3000点以上ともいわれる。
松方は西洋美術館のコレクションの基礎をつくりあげた。日本の人々のために美術館を作りたいとの思い西洋美術を収集した。
その収集はすんなりといったわけではなく、資金不足や戦争によって収集した作品たちは時代の波に翻弄されてしまう。
1927年には世界恐慌の影響で川崎造船所は経営破綻
収集され日本に到着していた作品は売られ、ヨーロッパに残っていた作品の一部はロンドンの倉庫火災で焼失。
第二次世界大戦末期にはパリでフランス政府に収集作品の一部は接収され、戦後フランスから寄贈返還された375点は、1959年に誕生した上野の国立西洋美術館にようやく収集されました。
【参考:『松方コレクション展』パンフレットより】
松方コレクションは、遠い西洋からいろいろな問題を乗り越えて日本にやってきた強者たちなんですね。
混雑具合
☝キース・ヴァン・ドンゲン《カジノのホール》1920
⇒最近の私のお気に入りの作品も展示されていました。うれしい。
当日の混雑
平日の11時半頃に行ってきました。
初日だったこともあってか混雑していました。
修学旅行期間中なので学生さんの団体もたくさんいました。
学生さんと女性の人たちに人気のようです。
だれもが楽しみやすい展覧会内容なので、 一人よりもお友達同士やグループで来ている人が多かったです。
会場にはいってすぐは混雑していますが、先に進むほどに人はばらけてきて、程よい混雑度になっていました。
楽しみにしていたゴッホ作品もじっくりみることができました。
この後の混雑予想
これから夏休み、9月の連続3連休まで会期があります。
夏休みは、学生さんの夏休みの課題にも役立ちそうな展覧会内容ですので混雑しそうです。
だれもが鑑賞しやすい展示作品が多いので親子連れもふえそう。
9月の連休は会期終盤で、ちょっとした東京旅行に来る人で混雑しそうです。
どんどん人気がでそうな展覧会です。
一番の混雑は
「ロンドン1916-1918」の会場がいちばん混雑していました。
この会場は、屋根の高い部屋に重なるように作品たちが展示されています。
ヨーロッパの美術館のように、かっこいい展示に「おお~~」と歓声があがりそうです。
見どころポイント
ゴッホとゴーギャンのフランスから返還されなかった作品
・ゴッホ《アルルの寝室》1889
・ゴーギャン《扇のある静物》1889頃
この2作品はぜったいに見逃せません。
通常はパリのオルセー美術館にいるのでなかなか見ることができません。
パリが日本に帰してくれなかったというわけも見れば納得です。
こんな傑作日本へ渡したくなかったでしょう(笑)
うれしいことに柵なしで見られましたので(2019年6月現在)、ぐっと顔を近づけて作品をみることができました。
感動♡
・セザンヌの《調理台の上のポットと瓶》1902-06 オルセー美術館
・アンリ・マティス《長椅子に座る女》1920-21 バーゼル美術館
この2点も要チェックです。
巨匠たちの作品
☝モネ 《 雪のアルジャントゥイユ》1875
日本人が大好きなモネ、ルノワール、マネの作品もみられます。
普段から常設展で展示している作品も数多く展示されています。違った場所での展示だと違った作品にみえてくるのもおもしろかったです。
初心者におすすめ展覧会
人気の高い印象派メンバーや、その時代前後の作品が展示されています。
展示作品は、1800年後半~1900年前半の作品がほとんど。
日本人にはわかりにくい宗教画などはほとんどないので、見るだけで楽しめる比較的初心者向けの展覧会になっています。
ただ、多くの作品に詳しいキャプションはついていないので、音声ガイドを聞いたり、展覧会に行く前に簡単な本などで西洋美術館や所蔵作品についての簡単な本を読んでおくとさらに興味深く楽しめます。
音声ガイド
作品の説明というよりも、その絵画と松下との関りが詳細に語られます。
モネから直接作品を買った話し、ゴッホの《アルルの部屋》を買ったときの逸話などなど。
日本とパリの歴史や、戦後の日本の立場などが絵画から見えてくるのもおもしろいです。
▼▼事前予習におすすめの本
・『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』
⇒西洋美術館の常設展をみながら西洋美術を学べる一冊。絵画についての説明や、絵画の背景にある社会背景なども知ることができます。
・『国立西洋美術館 公式ガイドブック』
⇒ピックアップされた西洋美術館の代表的な絵画の詳細な説明。「西美ものがたり」として西洋美術館の礎になっている松下コレクションのドラマティックなストーリーも書かれています。
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所要時間
私は1時間ぐらい。
普段から常設展でおなじみの作品はさらっとみて、今回の目玉であるフランスから帰ってこなかった作品や、資金不足で売ってしまった作品などを中心にじっくりみました。
わりとのんびりとマイペースで鑑賞しました。
『松方コレクション展』の展示順路
・プロローグ
☝モネ《睡蓮》1916
モネで展覧会はスタート
となりの作品《松方幸次郎の肖像》は見逃せない
第1章 ロンドン 1916-1918
すてきな展示室におどろいて♡
ラファエル前派でおなじみの、ミレーの《あひるの子》やロセッティの《愛の杯》はここに
☝ロセッティ《愛の杯》1867
▼▼ラファエル前派の恋愛関係はワイドショーで取り上げるべき(笑)
第2章 第一次世界大戦と松方コレクション
シモンの《墓地のブルターニュの女たち》はみごたえあり
第3章 海と船
通路が狭いので人とぶつからないように気をつけて
《裕仁のル・アブール港到着》は、歴史を絵画で描いて残した記録画
第4章 ベネディットとロダン
彫刻特集
第5章 パリ 1921-1922
☝ミレー《春(ダフニスとクロエ)》1865 はここに
ルノワールやモネ、ゴッホ、モロー、クールベ、セザンヌなどの人気作品はこの部屋に展示
☝モネ《舟遊び》1887
☝ゴッホ《ばら》1889
オルセー美術館所蔵の作品《アルルの部屋》《扇のある静物》《調理台の上のポットと瓶》もここにあるので必ずみて。
第6章 ハンセン・コレクション
ドガが描いたマネ《マネとマネ夫人像》は必見
ドガとマネの仲の良さが伝わってくる。バレリーナではないドガの作品が見られてうれしい
☝マネの《ブラン氏の肖像》1879 はここに
モネの作品もみられます
第7章 北方への旅
ムンクの作品《雪の中の労働者たち》は大作でみごたえあり
▼▼ムンク展(2018年冬)も大人気でした。当時の記事はこちらからどうぞ。
第8章 第二次世界大戦と松方コレクション
バーゼル美術館所蔵のマティス《長椅子に座る女》はここ
☝ルノワールの《アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)》1872 はここで
・エピローグ
モネ《睡蓮、柳の反映》
2016年パリで発見された幻の作品
160点もの作品が展示されているので、見たい作品を見逃さないように気をつけてくださいね。
おすすめ本
本『美しき愚かものたちのタブロー 』原田マハ
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2019年5月発売。
原田マハさんが描く日本の西洋アートの巡りあいの物語。
西洋絵画を日本に紹介しようとした松方幸次郎と、戦火のフランスで絵画コレクションを守り抜いた日置釭三郎の激動の人生が描かれた作品。
2019年開館60周年をむかえた国立西洋美術館の誕生秘話になっています。
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本『松方コレクションのすべて』
この1冊で展覧会の内容をほぼ網羅できます。
展覧会に行く前に予習していくのにも役立ちますし、 展覧会に行けない人にもおすすめの本。
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まとめ
『松方コレクション展』は日本が誇る西洋絵画がオンパレードで見られる展覧会になっています。
ふだん常設展で見ている絵画たちも、展示の仕方で見方がずいぶん変わるんだな~ということも発見できました。
残念なことは、この期間中は常設展に展示されている絵画数が少なめなことかな。
*ブログ内の写真は、常設展に展示されているときに撮影したものです。今回の展覧会では撮影不可でした。
▼▼同じ上野公園内で楽しめる展覧会はこちら。
①「三国志展」
②「恐竜博2019」
▼▼2019年夏におすすめの展覧会 上野・東京駅周辺はこちら