六本木にある国立新美術館でおこなわれている『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』を見てきました。
茶箱
上野では大混雑の『クリムト展』。
こちら国立新美術館でもクリムトが見られるよ。
『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』国立新美術館(六本木)
☝『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』パンフレットより
《エミーリエ・フレーゲの肖像》部分 1902年 ウィーン・ミュージアム蔵
六本木の国立新美術館ではクリムトを含む、19世紀末~20世紀初頭のウィーンの芸術に注目した展覧会『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』が開かれています。
時空を超えて、19世紀末の芸術の都ともいえるウィーンを六本木で楽しむことができます。
『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』基本情報
●会期
2019年4月24日(水)~2019年8月5日(月)
●休館日
毎週火曜日 *4/30は開館
●開館時間
10:00〜18:00
※毎週金・土曜日は、4・5・6月は20:00、7・8月は21:00まで。
4月28日(日)〜5月2日(木)と5月5日(日)は20:00まで開館。
5月25日(土)は「六本木アートナイト2019」開催に伴い22:00まで開館。
(毎日入場は閉館の30分前まで)
●場所
国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木)
●チケット
大人一般 当日券1600円
●巡回予定あり
2019年8月27日(火)〜12月8日(日) 国立国際美術館(大阪・中之島)
●展覧会ホームページ
▼▼こちらから見ることができます。詳しくは展覧会の公式ホームページで確認してください。
https://artexhibition.jp/wienmodern2019/
混雑具合 ストレスなく鑑賞
混雑状況は
展覧会が始まってすぐ平日11時ごろに行きました。(この後の予定があったので2時間で楽しむつもり。)
私の事前混雑予想は、クリムトがお目当てなら上野へ行く人が多いはずということで混雑は少なめ。
会場に到着すると
⇒ほどよく人がいる程度で、混雑少なめです。
久しぶりに混雑予想が的中してうれしい(笑)
●展覧会の会場内
クリムト作品は人気。
作品に人が列をなして見ている、人垣ができているという混雑レベルはなし。
会場内には、平日午前ということもあり中年女性のグループが多かったです。アジア系の人たちが多くいたのも印象的でした。団体さんだったのかな?
『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』は、会期が長めに設定されているので、早めの夏休みでも鑑賞可能なのがうれしいですね。
混雑をさけるなら
*あくまでも私の予想なので参考程度にお願いします。
混雑をさけるなら
⇒夕方から夜がとにかくおすすめ。
この展覧会『ウィーン・モダン』は、平日でも午後6時まで、金曜日は午後8時(8月は9時まで)開館しています。
ゴールディンウィーク4月28日(日)〜5月2日(木)と5月5日(日)は午後8時まで開館していますので 、夜のんびりとアート鑑賞できます。
*入場は30分前まで
特に夜間のこの時間は、デートや一人で鑑賞している人が多いと思われるので、静かにマイペースで鑑賞できそうです。
一番の混雑はここだ!
パンフレットにも掲載されているこのクリムトの作品の展示している場所。
《エミーリエ・フレーゲの肖像》部分 1902年 ウィーン・ミュージアム蔵 の前が今回の混雑スポットです。
展覧会の終わりの方になります。
この作品は、かなり大きな作品でクリムトが描きだす愛するエミーリエのオーラに圧倒されます。
☝クリムト作品では見逃せない、美しい衣装のデザインにも注目です。
なんとこの作品は写真を撮ることができますので、カメラをもって会場に入ることを忘れずに。
⇒写真がとれるのでさらに混雑してしまうんですけれどね。かなり大きな作品なので遠くからでも見ることもできます。
こんな人におすすめ
歴史好きな人
この展覧会では、ウィーンの歴史(19世紀~20世紀初)が芸術を通して見えてくるのも魅力になっていますので、歴史好きさんにおすすめです。
展覧会はウィーンの歴史順に進んでいきます。
第1章 啓蒙主義時代のウィーン 近代社会への序章
展覧会の始まりは、あの女帝マリア・テレジア(フランス王妃マリーアントワネットのお母さん)の肖像から始まる
⇒ここもドラマチック♡ウィーンといえばこの人というイメージがあります。
この肖像画の額の上には幼いヨーゼフ2世(マリーアントワネットのお兄さん)がいるのもお見逃しなく
女子が大好きな映画『マリーアントワネット』のなかでも、マリア・テレジアやヨーゼフ2世が登場しますよね♡
▼久しぶりに見たくなったらこちらからアマゾンへ。
第2章 ビーダーマイアー時代のウィーン ウィーン世紀末芸術のモデル
ウィーン会議が行われた。
音楽家シューベルト登場するのもこの時代
第3章 リンク通りとウィーン 新たな芸術パトロンの登場
ハプスブルグ家最後の皇帝フランツ・ヨーゼフと皇后エリザベート
⇒皇后エリザベートは、完璧なスタイルの美女といわれた、ミュージカルにもなるくらいの女性。
リンク通りを中心にしたウィーンができあがる
ウィーン博覧会が開かれて日本美術も紹介される
音楽家ヨハン・シュトラウス(子)が登場
第4章 1900年世紀末ウィーン 近代都市ウィーンの誕生
建築家オットー・ヴァーグナーの活躍
ウィーン分離派結成 クリムト登場
エゴン・シーレやココシュカの活躍
ちなみに19世紀の日本は江戸時代で将軍家斉~慶喜の時代。そして1868年に明治時代が始まります。
日本でも大きく時代が動いた世紀になります。
音楽・工芸・建築好きな人へ
ウィーンの芸術は、絵画だけでなく、音楽や工芸、建築、ファッションと注目する点がたくさんあります。
この展覧会の展示内容は、絵画作品だけではなく、椅子や銀食器などの工芸品や建築模型、ドレスなどなど多岐にわたっていて見飽きることがありません。
音楽好きな人や工芸好きな人、建築好きな人、もちろん絵画好きな人だれもが楽しめる見どころがたくさんの展覧会です。
みどころポイント
エゴン・シーレやココシュカにも注目
クリムトが才能を見出したというエゴン・シーレ(1890ー 1918)の作品や、オスカー・ココシュカの(1886ー1980)作品もたくさん展示されています。
シーレ(28歳という若さで亡くなった画家)、ココシュカ(作曲家グスタフ・マーラーの未亡人アルマ・マーラーとの恋愛も有名)という、日本ではあまり知られていないウィーンで活躍した芸術家についても知ることができます。
芸術は絵画だけではない
☝『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』パンフレット
●音楽
音楽家シューベルトの邸宅音楽会を描いた絵画作品、シューベルトの眼鏡も展示あり
ワルツ王といわれたヨハン・シュトラウスの肖像画もあり
●工芸品
椅子や銀製品ティーポットなどの展示あり
とくに椅子は背もたれのデザインやシートの部分のファブリックも素敵なので見逃せません
●建築
オットー・ヴァーグナーによる美術アカデミー、市営鉄道、聖レオポルト教会などの建築計画図や聖レオポルト教会の建築模型の展示あり
●ファッション
ドレスや帽子といったファッションに関する展示あり
クリムトの青のスモックも展示されています
⇒青の中に、肩の部分とポケットの部分にある黄色のステッチがかわいい♡
おしゃれなポスター
1898年から1918年まで続いた「ウィーン分離派展」のポスターは見ごたえあり。
その回ごとに違う人が描いたというポスターは、どれもおしゃれなデザインになっています。
もちろんクリムトの作品もあります(1904年の第18回)し、エゴン・シーレの作品(1918年第49回)もあります。
エミーリエ・フレーゲとクリムトの青いスモック
☝クリムトが描いたエミーリエ
エミーリエ・フレーゲはクリムトともっとも親密だった、生涯のパートナーともいわれている女性。(結婚はしていません)
クリムトはエミーリエのヌードは描かなかったとも、クリムトの死の直前に会いたいと言われた女性がエミリーエだともいわれています。
巨匠ともいわれる画家に愛された美しいだけの女性かと思いきや、実はエミーリエも芸術センスのあるファッションデザイナーで進歩的な女性だったようです。
なんと、あのクリムトのだぶだぶ青いスモック(改良服)は、エミーリエに大きく関係があるんです。
この展覧会ではそのあたりの展示もあります。
さらに、展覧会図録には『エミーリエのドレスとクリムトのスモックはファッションだったのか?-総合芸術としてのリフォーム・ドレス(改良服)-』新国立美術館 本橋弥生さんの書かれた論文が掲載されています。
こちらもおもしろい内容でしたので、図録を買ったらぜひ読んでみてください。(会場内のベンチにも図録は置いてあるので、ちらっと見ることもできます。)
音声ガイド
音声ガイドの声は城田優さんです。
城田さんの男らしい色気のある魅力的な声で作品を説明してくれます。
この音声ガイドにはボーナストラックとしてヨハン・シュトラウス2世の「美しく青きドナウ」が入っているので、これを聞きながら展示作品を見るのもおすすめです。
19世紀のウィーンの世界に入りこみましょう。
所要時間
私は1時間40分ぐらいでした。
次の予定まで2時間、たっぷり時間はあると思っていて、かなりのんびり鑑賞していたのですが。
1時間くらい経過したところで、「あれ??」まだ半分くらいじゃないと気づきました。「え~大変」ということで後半は少しペースを上げて1時間40分くらいで見終わりました。
展覧会はとにかく見るものが多い、展示内容も多岐にわたっている、見ごたえたっぷりの展覧会になっています。
混雑していなかったこともありマイペースで見ることができたため、長く見ていても疲れることはありませんでしたが、おもったよりも時間がかかってしまいました。
上野の「クリムト展」と合わせてみたい
上野の東京都立美術館では『クリムト展』が開催しています。(会期は2019年4月23日(火)~7月10日まで)
少し場所は離れていますが、こちらもあわせて見てほしいおすすめ展覧会です。
おすすめアート本
『もっと知りたい世紀末のウィーンの美術ークリムト、シーレらが活躍した』
千足伸行(著)/ 東京美術
オールカラーで見やすい「もっと知りたい」シリーズの本です。
クリムトも登場しますし、展覧会『ウィーン・モダン』で大きく取り上げられたシーレやココシュカについても知ることができます。
建築物や家具といった工芸品も取り上げられているので、「展覧会に行けないな~」という人はこちらの本を読んでみるのもおすすめです。
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もっと知りたい世紀末ウィーンの美術―クリムト、シーレらが活躍した黄金と退廃の帝都 (アート・ビギナーズ・コレクション)
- 作者: 千足伸行
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おすすめ映画
『エゴン・シーレ』
わずか28歳で亡くなった天才画家エゴン・シーレの生涯を堪能できる映画です。彼の作品や女性関係などが楽しめます。
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まとめ
『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』は、芸術の都ウィーンの魅力たっぷりの展覧会です。
目玉はクリムトと思っていたのですが、クリムト以外のウィーンの魅力が満載で見どころがたっぷりでした。
日本人からすると、パリもウィーンも同じような西洋美術というくくりでみてしまいがちなのですが(笑)。
パリとはちがった、不思議なちょっと謎めいた神秘的なウィーン美術が思いっきり楽しめました。
夜間開館も多く会期長めということで、見るチャンスも多くあるおすすめ展覧会です。