根津美術館(東京・表参道)でおこなわれている『新・桃山の茶陶』を見てきました。

歴史の息吹も感じる展覧会だったよ~。
『新・桃山の茶陶』根津美術館(東京・表参道)
16~17世紀初頭に作られた「桃山の茶陶」は、唐物にはない和物ならではの魅力にあふれているやきものを楽しめる展覧会です。
今回の展覧会では「京都三条の瀬戸物屋町」から出土した大量のやきものが展示されているのもおもしろい。当時のこの界隈の商人たちが取り扱ったやきものを知ることができます。
信楽・備前・伊賀の大胆な作風、志野の力強い鉄絵、織部の多彩な形や釉薬の掛け方、唐津の自由な文様表現が楽しめます。
混雑度
平日のお昼ごろに行きました。
外国人が多くいます。5~6人の団体様や一人で楽しんでいる人もいます。アジア人というよりは西洋人の方が多いようです。
現在の展示内容というよりは、美術館自体が外国人に人気のようです。
平日の美術館といえば、女性のお友達同士やご夫婦の人たちが多いなかで、この展覧会では、おもしろいことに男性の一人をたくさん見かけました。やきもの好きの方でしょうか?みなさん熱心に鑑賞していました。
平日なので年齢層は高めでしたが、休日は表参道という場所柄、若い人にも人気のありそうな展覧会です。
おすすめ度
やきもの好きなひとにおすすめ展覧会です。
●左:織部松皮菱形手鉢 美濃 17世紀 北村美術館蔵
●右:志野秋草文水指 美濃 16-17世紀 根津美術館蔵
【展覧会パンフレットより 部分】
信楽・備前・伊賀、志野、織部といったたくさん窯元のおもしろい作品が集まっているので、やきものが好きな人にとっては満足の高い展覧会になります。特に、きれいな作品よりは、大胆で豪快な作品が好きという人は大満足ではないでしょうか。
16世紀から17世紀、唐物が最上とされた時代に、独自の和物を作っていこうとしていた気風や、和物が人気を集めてくる雰囲気がも感じられます。
漫画『へうげもの』が好きな人へおすすめ。
漫画『へうげもの』は古田織部の生涯を描いたもので、作中では彼が織部焼を熱心につくりあげていく様子もちょくちょくでてきます。
あの奇妙なおもしろいやきもの織部焼もたくさんみることができますし、この展覧会では、古田織部の邸宅跡から出土したやきものも展示されています。
所要時間
1時間ぐらいでした。
ひとつひとつの作品の見た目が特徴的で、ただ見ているだけでも楽しいので、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
普段の展覧会で見るような貴重なやきものを一通り見るだけでも80点ちかくの作品が展示されているので時間がかかります。
そして、今回の展覧会の目玉?といえる京都三条瀬戸物屋町跡地から出土したやきものを見始めると、もう本当時間がとんでいくようです(笑)。
やきもの好きな人は十分に時間に余裕をみて展覧会にむかってください。
みどころ
①和物やきもののおもしろさ
自由な発想で、気持ちがやきものから飛び出ているようなおもしろさ、奇妙さを作品のあちこちからみることができます。
色や模様、形、どの作品をみてもワクワクしてきます。
● 耳付水指 伊賀 17世紀 個人蔵
【展覧会パンフレットより 部分】
②京都三条瀬戸物屋町跡地から出土したやきものたち
とにかくおもしろい展示です。
当時1615年頃の和物のやきものがこんなにきれいなままで残っているんだと感動すら覚えます。町ごと(店ごと)に少しづつ特徴があるのも見逃せないポイントです。
【展覧会パンフレットより 部分】
●弁慶石町出土資料
慶長年間(1596-1615)頃
信楽や備前のやきしめが多く、瀬戸黒を含んでいる。織部がないので早い時代と思われている。
●中之町出土資料
元和年間(1615-24)が中心。
美濃が8割だが、黒織部・青織部も多く、向付の割合が高い。2000点以上が出土し、瀬戸物町といわれる。
→黒、グリーン、グレー、茶色と色も様々。
●下白山町出土資料
元和年間(1615-24)が中心。
279点出土。信楽・備前のやきしめや、唐津・高取の水指、花入が多い。
→ごつごつした茶色の柄のないものが多い。
●福長町出土資料
元和年間(1615-24)が中心。
美濃・唐津・高取が多め。
→かなりビビット。おもしろい柄のついたものや、鮮やかな色彩の作品が多い。
●油屋町出土資料
元和年間(1615-24)が中心。
美濃・唐津が多め。日常食器が多く、やきもの全般を取り扱っていたよう。
→鳥の絵がついた作品などプレーンな感じ。
③四坊堀川町(古田織部邸宅跡)出土資料
織部が自決した慶長20年ごろのもの。
美しいかたちのまま残っている。唐津が多く織部は案外少ない。
あの古田織部が使っていたのかと思うと、ドキドキしてきます。思ったよりも、使いやすそうなものが多いことにもちょっと驚きます。やっぱり普段につかうものは、あっさりと飽きのこないものがいいのかも(笑)しれませんね。
④秋のお庭散策
根津美術館といえば、自由に散歩できるお庭も魅力のひとつ。
都会のどまんなかで、のんびり気持ちのいい空気を吸うことができます。
おすすめ本
漫画「へうげもの」 山田芳裕 著 / 講談社
コミックでは 25巻にもおよぶ大作で、読み応え十分です。やきもの好きな人だけでなく、茶道が好きな人、戦国時代が好きな人、織田・豊臣・徳川の3人が気になる人にもおすすめです。
2011年にはNHKのマンガで放送もされています。
基本情報
●会期:2018年10月20日(土) ~ 2018年12月16日(日)
会期の残り少なめです。
●場所:根津美術館(東京・表参道)
●展覧会ホームページ:▼▼こちらから見ることができます。
▼表参道へ行ったらパイナップルケーキをお土産にいかがでしょうか?試食もありますよ。パイナップルケーキもおすすめなのですが、なんといってもお店サニーヒルズの素敵な建物が必見。設計は、根津美術館と同じ隈研吾氏です。お土産話のネタにもなりますね。
まとめ
やきものっていいな♡と心から思える展覧会です。
今回の展覧会の目玉?ともいえる、京都三条瀬戸物屋町跡地から出土したやきものを見ていると、和物のやきものの生産量が増え、それらを販売するお店があり、町がにぎわっている当時の様子が目に浮かんできます。国宝や重要文化財といった一流品ではないこの出土品たちは、歴史発掘をしている気分でワクワクしてきます。
その一方では、きちんと国宝や重要文化財も展示されているのですから、この展覧会がいかに素晴らしくおもしろいかがわかると思います。
*国宝《志野茶碗 銘 卯花墻》が見られるのは12月4日までです。
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