東京国立博物館(東京・上野)でおこなわれている『マルセル・デュシャンと日本美術』を見てきました。

芸術って日常と隣り合わせんなんだね。
『マルセル・デュシャンと日本美術』東京国立博物館(東京・上野)
マルセル・デュシャン(1887-1968)は、20世紀美術に大きな影響を残した美術家でチェスの名手でもありました。目に見えるものを表現する絵画を「網膜的」として否定し、芸術への考えを大きく転換した芸術家です。
写真からもわかるように、ダンディで素敵なイケメンの男性です。
この展覧会には、フィラデルフィア美術館(アメリカ東海岸)から、世界随一といわれるデュシャン・コレクションの作品たちが来日しています。
また、デュシャン作品を5つの視点から日本美術と比べて鑑賞できるのが今回の展覧会の見どころにもなっています。
混雑度
金曜日の5時半ごろに行きました。
若い人がたくさんいて驚きです。男女を問わずに、一人で楽しんでいる人もいればカップルもいれば、友達同士できている人たちもいれば。
とにかく若者がたくさん!
なかなか展覧会会場では見ることのできない光景です。しかも、みんなお付き合いで仕方なく来ている雰囲気ではなく、興味深々で真剣に作品と向き合っています。
失礼ですが人気がない展覧会と思いきや、わりと混雑しています。
休日は、デートでくるカップルが多そうです。
おすすめ度
マルセル・デュシャンを知りたいひとにおすすめの展覧会です。
この有名な作品《泉》しか知らないという人も多いですよね。
《泉》だけではないマルセル・デュシャンを、この機会にを知りたい人におすすめ展覧会です。
デュシャンの代名詞、日用品を本来の用途から切り離して芸術作品として意味づける「レディメイド」作品をたのしめますし、初期のころのふつうの絵画、女性に扮したデュシャンで自らの分身としたローズ・セラヴィなどなど、いろいろなデュシャンを知ることができます。
●《待ちぼうけ》1909年
パリの新聞や雑誌の挿絵画家として働いていたころの作品。
●《ブランヴィルの庭と礼拝堂》1902年
●《チェスゲーム》1910年
●《デュムシェル博士の肖像》1910年
日本美術とデュシャンのつながりを知りたいひとへおすすめ。
デュシャンの芸術への考え方を日本美術に照らし合わせて考えてみるという画期的な展覧会になっています。
日本の「レディメイド」とはなにか?気になりますよね。
所要時間
30~40分ぐらいでした。
見るだけでは、なかなかつかみどころのない作品が多く、「芸術ってなんなんだ?」と深く考えてしまうか、「これも芸術作品なのか~。」と単純に受け入れるかで所要時間は大きく変わってきます。
私は、後者の「これも芸術なんだ」派でしたので、あっさりと作品を見る感じで所要時間30~40分ぐらいです。
後半の日本美術とのつながりも、なるほど~と素直な気持ちであっさりと受け入れて鑑賞しました。
みどころ
①デュシャンの不思議な芸術の世界に浸る
芸術作品といえば絵画や彫刻が中心で、一から制作するものと思っていたら、デュシャン作品は「なんじゃコレ??」と思ってしまうはず。
なんだか家に帰って自分も芸術作品をつくってみようかしらと考えてしまうような、夏休みの自由研究のような感じ(笑)の世界に驚きます。
● 《チョコレート磨砕器 No.1》1913年
● 《チョコレート磨砕器 No.2》1914年
●《エナメルを塗られたアポリネール》1916-17年
エナメル塗料のブランドを宣伝したブリキの看板。
②日本美術の不思議さ
今まで当たり前のように感じていた日本美術もとっても不思議に思えてきました。
海外の人が日本美術に興味を持つのがわかるような気がします。
日用品を芸術にしたもの、絵巻のように同じ風景や建物の中に同一人物が何度も登場して時間の経過を表すもの、同じものをコピー(模倣)して作品とするもの、書と絵画、工芸の融合などによる形態の美しさなどなど。
確かに、こう考えると不思議な芸術だな~と改めて日本美術についても考えるきっかけになります。
●《舟橋蒔絵硯箱》本阿弥光悦 江戸時代17世紀
文字と工芸の組み合わせの作品。
●《竹一重切花入 銘 園城寺》伝千利休作 安土桃山時代・天正18年(1590)
自然の中に生えている竹を芸術へ
●《黒楽茶碗 銘 むかし咄》長次郎 安土桃山時代・16世紀
普段つかいの道具が芸術作品に。
③写真OK
会場内は写真OKですので、自分らしい角度から自分らしく不思議な芸術作品たちをかっこよく写真におさめてみるのも楽しいです。
写真に夢中になって他の人の邪魔にならないように気をつけてくださいね(笑)。
おすすめ本
①「めくるめく現代アート イラストで楽しむ世界の作家とキーワード」 筧菜奈子 著 / フィルムアート社
現代アートって難しいイメージがありますが。
最近うわさのゾゾタウンの社長も現代アート収集がお好きなようですよね。会話のネタとして、この本を読んで現代アートをかじってみるのもおすすめです。
この本では、ちょっと前に話題になったあのバンクシー(謎の覆面アーティスト:オークションで落札された瞬間、自動的にシュレッダーが起動してズタズタに裁断されてしまった。)も取り上げられています。
基本情報
●会期:2018年10月2日(火) ~ 2018年12月9日(日)
会期の残り少な目です。
●場所:東京国立博物館(東京・上野)
●展覧会ホームページ:▼▼こちらから見ることができます。
マルセル・デュシャンと日本美術 | 東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展
▼となりの会場では「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」が開かれています。2展セットチケット2000円もあり、おすすめです。
まとめ
芸術って自由だな~と感じる展覧会です。
デュシャンの作品って不思議で変?なものも多いんだけど、結局はなんとなくおしゃれに見えてしまうんです。デュシャンが、かっこいいから?なのかな(笑)。
上手、下手とかという観点ではない次元で楽しめるのが芸術なんだな~と思えます。
私は手先が器用ではなく何をつくってもへんちくりんな作品になってしまい(笑)、学生時代は美術が好きではなかったのですが、もっと作品を自分らしく作ることに楽しみを感じていたらよかったな~とつくづく感じてしまいました。
こんなかわいいシールもありました♡
展覧会の公式キャラクターで、
デュシャンしゃん:20世紀の画家がパンダに転生。パイプは離さない
利Qはん:桃山時代の茶人がパンダに転生。クールでいつも無表情
だそうです。
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