三菱一号館美術館(東京・丸の内)でおこなわれている『フィリップス・コレクション展』を見てきました。

おしゃれな丸の内のおしゃれな美術館でデートにぴったり。
『フィリップス・コレクション展』三菱一号館美術館(東京・丸の内)
フィリップス・コレクションとは、米国にある私立美術館(邸宅美術館)で、ダンカン・フィリップス(1886-1966)が収集した作品が展示されています。
ニューヨーク近代美術館よりも早く1912年に、アメリカでは近代美術を扱う最初の美術館として開館しました。
ドラクロアなど19世紀の画家の作品から、マネ、印象派のドガ、モネ、印象派以後のセザンヌ、ゴーガン、ピカソ、ブラックらの作品75点が展示されています。
どの作品もみごたえたっぷりの展覧会になっています。
三菱一号館美術館とフィリップス・コレクションは、ともにレンガ造りの大きな窓のある建物で、館中のくつろいだ親密な空間が似ているそうです。東京の三菱一号館美術館にいながら、フィリップス・コレクションの魅力でもある邸宅美術館のすばらしさを感じながら作品を鑑賞できます。
混雑度
平日の4時半ごろに行きました。
三菱一号館美術館は丸の内(東京駅から徒歩5分程度)という立地の良さからか、女性のお友達同士やご夫婦、若いカップルに人気があり、どの曜日もどの時間帯もわりと混雑しています。
美術館自体も大きくはないので、そんなに人がいなくても混雑しているイメージになってしまうのですが。
想定通りの混雑状況です。空いているわけではないけれど、十分にマイペースで作品を見ることができるレベルの混雑度です。
平日夕方ということもあり、女性(30代40代くらい)が一人で来ているのが多かったです。
スーツを着た男性の姿もちらほら。熱心に作品を見ている人がほとんどで、美術館のなかはここちよい静けさがただよっていました。美術館自体の優雅さもあり、素敵な空間・時間が存在していました。
休日になると、動けないほどではないですが、ほどよい混雑が想像できます。
開催期間が長く、平日は美術館が18時まで開館していますので、なるべく混雑を避けて予定を調整してみるのがいいのではと思います。
おすすめ度
おしゃれな美術館デートを探しているひとにおすすめの展覧会です。
まずは美術館自体がおしゃれ。レンガつくりの建物、目の前には緑が広場があります。都心とは思えない緑が美術館の中からみることもできます。この時期には、夕方~夜のイルミネーションもきれいです。
平日は、よく雑誌の撮影などでモデルさんがカメラの前でかっこよくポージングしている様子も見ることができます(笑)
『フィリップス・コレクション展』で楽しめる作品も、建物や周りの雰囲気に負けないぐらいおしゃれで素敵です。美術の知識がなくても、展示作品はなにも難しく考えることもなく、ただ見るだけで素敵さがわかる作品ばかりです(笑)。
気軽に美術を楽しむにもおすすめです。
印象派以降の画家が気になる人へ
印象派以降に活躍した、近代画家たちの作品が多く展示されています。
まだまだ美術本などでは、なかなか出会うことのない近代画家たちを知ることのできるチャンスです。
素敵な執事付きの邸宅に訪れてみたいひとへ
音声ガイドを聞けば、フィリップス家に仕える執事が作品を丁寧に説明してくれます。まるでフィリップス家に招かれたような気分になれるのでおすすめです。
所要時間
(私は)1時間10分ぐらいでした。
作品を見やすい混雑度でしたので、のんびりと好きな作品を、なめるように(笑)眺めて楽しんでの時間です。
気になる作品が何点もあり、時間いっぱいいっぱいまで見てしまいました。できることならば、一日でも鑑賞していたいぐらいです。ここが自分の家だったらいいのに(笑)。
みどころ
人気の印象派の画家に比べると、まだ知られていないことの多いマイナーなイメージのある近代画家たちの素敵な作品に出会えます。
特にフィリップスのお気に入りだったという、ジョルジュ・ブラック(1882-1963 フランス)の作品はおすすめです。モダンでかっこいい大作が見ることができます。
●ジョルジュ・ブラック 《鳥》1956年
●ピエール・ボナール 《犬を抱く女》1922年
ピエール・ボナール(1867-1947)フランス。ボナールの奥さんの赤いしましまのお洋服もかわいい。
●ピエール・ボナール 《開かれた窓》1921年
作品の横には、リアルな窓があり美しい丸の内の夜景が見ることができます。
▼新国立美術館で開催中の『ピエール・ボナール展』(2018年9月26日~12月17日)もおすすめ。展覧会の詳しい内容はこちらから。
●フランツ・マルク 《森の中の鹿Ⅰ》1913年
フランツ・マルク(1880-1916)ドイツ。鹿?リス?がかわいい。
●ハインリヒ・カンペンドンク 《村の大通り》1919年頃
ハインリヒ・カンペンドンク(1889-1957)ドイツ。判子をペタペタ押したような作品。シャガールぽい。
ほかにも
ワシリー・カンディンスキー(1866-1944)ロシア
パウル・クレー(1879-1940)スイス
アンリ・マティス(1869-1954)フランス
モーリス・ユトリロ(1883-1955)フランス
の絵画にも出会えます。贅沢ですね~。
②ゴッホとピカソの作品にも注目
ファンの多いゴッホとピカソの作品も楽しめます。
ゴッホの作品は、なんだかかわいらしい。ゴッホの晩年の作品にありがちな、不安感たっぷりのおどろおどろしくない(笑)作品です。
●フィンセント・ゴッホ 《アルルの公園の入り口》1888年
南仏アルルでのゴーギャンとの共同生活目前の頃の作品。ゴーギャンとの新しい生活にワクワクしていた頃なんでしょうか。
[丸の内ブリックスクエア「美トク」パンフレット 部分]
●フィンセント・ゴッホ 《アルルの公園の入り口》1888年
[展覧会パンフレット 部分より]
ピカソの作品も、なんだか何が描かれているのかよくわからないというピカソあるあるではない、わかりやすいさに感動です(笑)。
●パブロ・ピカソ 《緑の帽子をかぶった女》1939年
有名な作品《泣く女》とはまったく違う作品であることに驚きです。
[展覧会パンフレット 部分より]
▼ピカソと女性との関係を知りたいならば、ぜひ読みたい作品はこちら。原田マハさんの『暗幕のゲルニカ』を。
③写真OKコーナーで動物を探す
会場の途中に「絵の中にかくれている動物を探してみよう」という、部屋にぐるりと7つの絵画が飾られた、楽しいフォトスポットがあります。
●カミーユ・コロー《ジェンツァーノの眺め》1843年
●ウジューヌ・ドラクロワ 《海からあがる馬》1860年
④会場入り口にあるシート
野球カードのような画家カードがもらえます。なんと2種類あるそうです(日によって配布する種類が異なるそう)。もう1種類が気になります。
裏面にはそれぞれの画家と作品について説明が書かれています。
⑤グッズコーナーにあるミニチュア
会場をでて、グッズ販売場所に置かれているのがこのミニチュア。
1927年のフィリップス・コレクションの一室です。ミニチュアアート作家HIROYUKI&KYOKOさんの作品で、ソファーに張られた生地まで精巧につくられています。
小さくなって、この部屋に住んでいたいです(笑)。
おすすめ本
「邸宅美術館」 朽木ゆり子 著 / 集英社
玄関があり、階段ホールがあり、居間があって、寝室もある。人の住まいとしての邸宅に飾られた作品が鑑賞できるのが邸宅美術館。邸宅自体も美術品として楽しめるのが魅力です。
ヨーロッパ、アメリカの邸宅美術館15館が紹介された本、フィリップス・コレクションも紹介されています。眺めるだけでも素敵な本です。
基本情報
●会期:2018年10月17日(水) ~ 2019年2月11日(月・祝)
●場所:三菱一号館美術館(東京・丸の内)
●展覧会ホームページ:▼▼こちらから見ることができます。
フィリップス・コレクション展|三菱一号館美術館(東京・丸の内)
まとめ
邸宅美術館の魅力満載の展覧会です。
世界には、ルーヴルやメトロポリタンといった巨大で素敵な美術館がありますが、それらの美術館とはちがった世界の広がる邸宅美術館の魅力を感じることのできる展覧会です。
コレクターの趣味が大きく反映されているため、展示作品には好みがはっきりしています。ラッキーなことにコレクターと趣味が合えば、なんだか自分が作品を収集したようで(おこがましいですが)、作品をより身近に感じることができます。
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