上野公園内にある上野の森美術館で開かれている『世界を変えた書物展』を見てきました。

たくさんの貴重な書物が集まって、知の森ができているよ。
世界を変えた書物展 東京・上野の森美術館
研究者の卵の学生さんが、一般的でわかりやすい展示内容や構成を考えた研究成果の一環が展示されています。また、展示書物がほとんど初版本というすばらしい展覧会で、コペルニクス、ガリレオ、ニュートン、アインシュタインなど偉大な人びとの知の発見と出会えます。出展数は130点ほどです。
混雑度
展覧会初日の午前中にいったのですが、思ったよりも人が多くいました。
並んでいるレベルではないのですが、ひとつの書物をじっくりみるには、前の人が見終わるのを待たなければならない程度には混んでいます。見る順序は特にないようでしたので、好きなゾーンからすいている展示書物から見てもいいと思います。
土曜日だったからか、若い男女がデート?で来ているのを見かけました。あとは、圧倒的に男性が多かったです。年齢は、展覧会にしては珍しく大学生~30代くらいの人が多かったように感じます。
おすすめ度
なんといっても無料なので、ちょっとした寄り道におすすめです。上野にちょっと用事があったらついでに寄ってみると、気分転換にもなるはずでし、見るだけで、ちょっと頭が良くなったような気分にもなれます(笑)。
理系の人でしたら、学生時代に学んだ研究者の名前がたくさんでてきてさらに楽しいと思います。理系男子が文系女子とデートする場所にもおすすめ。本の著者の研究者名を知っているだけでも「すご~い」と尊敬されます。
文系の人、特に本が好きな人も、数百年前に書かれた初版本の本が、たっぷりと見ることができるので感動できます。古いものなら500年近く昔に書かれた本が展示されています。
化学、科学、物理学といった知識の発見を体系的に見ることができるので、中学生や高校生でも理解できますので、親子で来るのもおすすめです。
展示会場の中は写真を撮ることができるのもうれしい、おすすめポイントです。家に帰ってじっくり見ることもできます。
所要時間
30分程度です。写真を撮ったり、じっくりと本の図を見たり(内容は読めないし、わからないので、イラストと図をみるだけ)しました。文系の内容がまったくわからない私が、ゆっくりとのんびりと見た時間です。
理系の知識のある人ならば、図やイラストだけでも研究内容がわかると思うので、もっともっと楽しくみることだできるはずなので、時間がかかるかもしれません。
展覧会の内容・みどころ
この展覧会は、金沢工業大学ライブラリーセンター(KIT-LC)の工学の叡智を、広く一般に紹介することを目的に企画されました。金沢工業大学の大学院生・学部生たちが一般の来場者が書物と出逢い、興味をもち、理解しやすくするため、膨大な蔵書の中から展示する書物をえらび、それらの書物同士の関係性がひと目でわかるような空間デザインをつくりあげたそうです。
『工学の曙文庫』は金沢工業大学ライブラリーセンター(KIT-LC)に設置された科学的発見や技術的発明が最初に発表された初版本を体系的に収集した稀覯書コレクションで、現在2000余冊を所蔵しています。
参考・引用:展覧会パンフレット・公式ホームページ
切り込まれた本の中に入っていくような入り口。ここを通り抜けると、最初の部屋は、どこかの研究室に入りこんだような、たくさんの本がぐるりと天井までびっちりとつまった部屋へ。
▼ジヤック・アンドルーエ・デュ・セルソー(c.1549-c.1584) 「フランスの最も優れた建築 第一巻、第二巻」 パリ 1576-1579年 初版
▼ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ(1720-1778)「古代ローマの廃墟及び建造物景観」 ローマ 1748年 初版
次の部屋から、13のカテゴリーに分かれた「知の森」がはじまります。
本のキャプションについている「Check2」マークのついている本は、会場で配布されている展覧会リストに詳細な説明がついています。
すべての書物ひとつひとつは、本の表紙も下の鏡に映っているので見忘れないように。
1「古代の知の伝承」
▼イシドールス(c.570-636) 「語源学」 アウグスブルグ 1472年初版
▼エウクレイデス(=ユークリッド)(c.330-258 B.C) 「原論(幾何学原本)」ヴェネツィア 1482年初版
▼ヨルダヌス・ネモラリウス(fl.c.1220)「算術十書」 パリ 1496年 初版
2「ニュートン宇宙」
3「解析幾何」
▼レオンハルト・オイラー(1707-1783) 「無限解析入門」 ローザンヌ 1748年 初版
→→受胎告知のような美術作品が描かれていて、聖書のようにもみえる。
4「力・重さ」
▼ガリレオ・ガリレイ(1564-1642) 「新科学対話」 ライデン 1638年 初版
▼ヨルダヌス・ネモラリウス(fl.c.1220)「タルターリアの研究によって正されたおもさについての書」 ヴェネツィア 1565年 初版
→→秤の絵イラストが描いてあるのがわかる。(それしかわからないけれど)
5「光」
▼ヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749-1832) 「色彩論」 チュービンゲン 1810年 初版
▼トーマス・ヤング(1773-1829) 「自然哲学及び機械技術に関する講義」 ロンドン 1807年 初版
展示の途中に、レプリカがおいてあり、ここでは書物に触ることができます。
▼チャールズ・ダーウィン(1809-1882)「種の起源」 ロンドン 1859年 初版
→→これくらいは、文系の私も知っているレベルの本。
★展覧会の内容をキューブで表現
さらに、いろいろな分野の知識がつながっているという「知の連鎖」表があり、最後は、アインシュタインにつながっています。
6「物質・元素」
ヒエロニムス・ブルンシュヴィヒ(c.1450-1512) 「真正蒸留法」 ストラスブール 1500年 初版
→→500年以上も前の本なのに、美しいカラーイラストがわかりやすい。
▼ジャンバッティスタ・デッラ・ポルタ(1535-1615) 「蒸留法九書」 ローマ 1608年 初版
→→イラストを見るだけでも面白い。
7「電気・磁気」
「ダイナモ発電機・特許説明書・特許番号No.297,587 合衆国特許局」 ワシントンD.C 1884年
▼ルイジ・カルヴァーニ(1737-1798) 「筋肉運動による電気の力」 ボローニア 1791年 初版
→→これは、筋肉の図。ちょっと気持ちわるい。
8「無線・電話」
9「飛行」
▼オットー・リリエンタール(1848-1896) 「飛行術の基礎となる鳥の飛翔」 ベルリン 1889年 初版
→→テレビ番組の「鳥人間コンテスト」に役立ちそう!?
10「電磁場」
▼ルネ・デカルト(1596-1650) 「哲学の原理」 アムステルダム 1644年 初版
11「原子・核」
マリー・スクウォドフスカー・キュリー(1867-1934) 「放射性物質の研究」 パリ 1903 初版
→→有名な女性研究者のキュリー夫人の書物。小さいころ彼女の伝記をよく読んだのを思い出す。
12「非ユークリッド幾何学」
▼ニコライ・イヴァノヴィッチ・ロバチェフスキー(1793-1856) 「幾何学の起源について カザン帝国大学紀要25号(1829)、27号及び28号(1830)所収」 カザン 1829-1930年 初版
13「アインシュタイン宇宙」
▼ アルベルト・アインシュタイン(1879-1955) 「特殊相対性理論及び一般相対性理論」 ブラウンシュヴァイク 1917年 初版
→→あの舌出しの天才アインシュタインですね。
★東京展特別出展
▼アルブマセル(アブ・マァシャル)(c.810-886) 「占星術」 アウグスブルグ 1488年 初版
→→女子が大好きな星座のイラスト。
▼ガイウス・プリニウス=セクンドウス(c.23-79A.D.) 「博物誌三十七書」 ヴェネツィア 1513年 挿画入初版
▼ジョルジョ・ヴァザーリ(1511-1574) 「最も優れた画家、彫刻家、建築家の生涯」 フィレンツェ 1568年 増補改訂版
★立体的に知識が絡み合った模型
文系の私には、知っている人が数人しかいなかったのが残念。
★記念写真コーナ
美術展には欠かせないコーナーです(笑)多くの人が写真を撮っています。
★展覧会グッズショップ
展覧会のプログラムも販売しています。
おすすめ本
つい最近、文系の私が読んで「ヤバイ」と思った1冊。これからは、ちょっとは理系の知識も知らなくちゃ。

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基本情報
会期:2018年9月8日(土) ~ 2018年9月24日(月・休)
会期中無休、期間がみじかいので注意が必要です。
入場無料
場所:上野の森美術館(上野公園内)
展覧会ホームページ:▼▼こちらから見ることができます。
まとめ
秋にぴったりの展覧会になっています。展覧会の内容は難しいことでも、展示してある本を見るだけでも知の発見の息吹を感じます。
最近読んだAIの本で、理系の知識を少しでも知っておかないとまずい!と感じていたところだった私にとってはタイムリーな展覧会でもあり、楽しめました。会場でもらえる展示内容リストも、主要な20冊が詳しく紹介されているので、読み応えあります。必ずもらってくださいね。