東京上野にある東京都美術館で開かれている、『藤田嗣治展』を見てきました。

日本を代表する画家、藤田嗣治のあらゆる作品がみられるよ。
『藤田嗣治展』 東京都美術館(東京上野)
しりあがり寿さんの描いたかわいいフジタ画伯が、この展覧会のキャラクター。
混雑度
金曜日の5時ごろに行きました。どうしても混雑を避けたかったので、金曜の夜間を狙いました。人気のある画家なので、金曜日の夜間でも混雑しているかもと不安だったのですが。展覧会が始まったばかりだからなのか、思っていたよりも空いていました。
うれしい。
全体的に一人で来ている人が多かったです。じっくりと作品に見入っている人が多く、会場内から、じわっと「藤田熱」を感じました。中年の男性サラリーマンの方が多かったのが印象的でした。 今後は、お盆休みや涼しくなるだろう秋の9月になると、どんどん混雑してきそうな感じがします。
おすすめ度
日本人全般、猫好きさん(動物好きさん)、国際人としての生き方に興味のある人に、おすすめの展覧会です。
波乱万丈(あやうく戦犯になりかけた、日本を追われた?、その後は日本に戻ることはなかった)の藤田嗣治の人生を通して、日本人として藤田嗣治をどう思うか?、藤田嗣治は日本をどう思っていたのかを、知りたいと思っている人は多いはずです。
日本を恨んでいなかったのか?嫌いだったのか?パリで成功した藤田嗣治が、日本ではあんまり有名ではない、浸透していないのはなぜなのか?今まで、藤田嗣治の大規模展覧会がなぜ開かれなかったのか? 疑問だらけです。
考えすぎなのかもしれないけれど、いろいろなことを推測してしまいます。特に、夏の終戦記念日が近づいてきたこの時期に、じっくり藤田作品に向き合ってみることをおすすめします。
藤田嗣治が大好きだった、猫ちゃんも作品のあちこちに登場します。猫(動物)好きさんには、たまらない展覧会です。
猫と女性は似ている。
普段はおとなしくても、かまわないとひっかいたりする。
女性にひげと、しっぽをつければ、そのまま猫になるじゃないですか。
音声ガイドによると、藤田嗣治は猫と女性についてこう語ったそうです。 あはは(笑)、なんとなく、なっとく!!
猫以外の動物もたくさんいます。かわいい動物や、かわいい子どもたちの絵もありますので、小さな子どもでもだれもが楽しめる作品も多くあります。ジュニアガイドが受付でもらえますので、親子づれの方はぜひ活用してください。
[展覧会ジュニアガイド]
所要時間
75分ぐらいでした。藤田嗣治好きの私は、かなりのんびり作品を楽しんだので、時間がかかってしまいました。普通に見ても、作品数が多く、見ごたえたっぷりなので、わりと時間がかかると思います。大作も多いですし、いろいろな藤田作品にどっぷりとはまってしまうはずなので、時間には余裕をもって行くことをおすすめします。
みどころ
①史上初の回顧展藤田嗣治の没後50年にようやく開かれる回顧展です。質、量ともに、史上最大級といわれています。
②藤田嗣治の画業の全貌がみられる。
日本だけでなく、欧米の主要な美術館からも、作品が来日。 スイスのプティ・パレ美術館、パリのポンビドゥー・センター、ベルギー王立美術館、シカゴ美術館、パリ市立近代美術館といった、欧米の美術館から藤田作品が来日。 ということは、これらの名だたる美術館が藤田作品を持っているんですね。
③藤田嗣治の生涯を通して作品が展示
藤田嗣治の生涯は、波乱万丈!!そんな生涯をめぐりながら、その時々の作品を見ることができます。
④藤田嗣治の自画像がたくさん
若いときから、レオナールになってまでの藤田嗣治の自画像がそれぞれの時代ごとに見られます。
▼「自画像」1929年(以前に東京国立近代美術館にて撮影しました)
パリ時代の若き藤田嗣治です。このほかにも、日本の大学時代、パリ時代の丸めがねにおかっぱ頭の藤田、日本の座敷でくつろぐ藤田、レオナールになってからの白髪の藤田まで、人生そのときそのときの自画像がそろっていますので、この展覧会では藤田の一生を自画像で見ることができます。
内容
1 「原風景 家族と風景」
東京藝術大学時代の作品がみられます。
2 「はじまりのパリ」第一次世界大戦をはさんで
パリに留学~パリで成功!!する作品、藤田の出世作「私の部屋、目覚まし時計のある静物」もあります。
3 1920年代の自画像と肖像 「時代」をまとうひとの姿
パリにて 自画像や肖像画を描く。丸メガネとおかっぱ頭が藤田の代名詞!パリでも有名人になります。
4 乳白色の裸婦の時代
藤田の代名詞ともなった「乳白色裸婦」の作品が登場!!つやっぽい、向こうが透き通って見えるような、乳白色の作品が勢ぞろいしています。
5 1930年代・旅する画家 北米・中南米・アジア
乳白色の淡い色の絵画から、藤田作品とは思えないような一気にビビットな色が華やかなカラフルな作品が登場。後半は、日本の風景も広がります。
6 「歴史」に直面する 二度目の「大戦」との遭遇
7 「歴史」に直面する 作戦記録画へ
第二次大戦が藤田の人生を大きく変えてしまいます。藤田は代名詞のおかっぱ頭を、丸刈りにして、戦地へ向かうのです。
8 戦後の20年 東京・ニューヨーク・パリ
藤田の人生のなかで、最後になる日本。日本を抜け出し!?ニューヨークへ。そして、藤田の第二の故郷パリへ戻っていきます。
▼ニューヨークで、パリを思って描いた「カフェ」(1949年)も飾られています。
手作りが得意だった藤田の手作りワイングラスや装飾木箱の展示もあり、見ごたえたっぷりです。
9 カトリックへの道行き
パリで、カトリックの洗礼をうけて「レオナール藤田」となります。この頃の作品に描かれたサインも、レオナールになっています。日本に一度も戻ることなく、パリでの人生の最期をむかえます。
おすすめ本
「もっと知りたい藤田嗣治 生涯と作品」 林洋子他 著/ 東京美術
藤田嗣治について、よく知らない人、もっともっと知りたい人におすすめの一冊。今回の展示会の監修者でもある林洋子さんが、書いた本です。

もっと知りたい藤田嗣治(つぐはる)―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
- 作者: 林 洋子,内呂博之
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2013/08/25
- メディア: 単行本
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基本情報
●会期:2018年7月31日(火) ~ 2018年10月8日(月・祝)
●場所:東京都美術館(東京上野)
●展覧会ホームページ:▼▼こちらから見ることができます。
同じ東京都美術館で行われている「BENTOおべんとう展」が、観覧料金割引で見ることもできます。
▼▼「BENTOおべんとう展」に行った記事はこちらにありますので、参考にしてください。
まとめ
藤田嗣治を知り尽くす展覧会です。
あらゆる藤田作品をみることができ、もちろん藤田の人生で問題となった戦争画もあります。が、展覧会のなかでは日本の立場(日本画壇の立場)として、藤田に対してどう考えているのか、どうして藤田が日本を追われるように出て行ってしまったのかという点については、詳しい説明はありませんでした(私が気づかなかっただけなのか?)。本当はその部分が藤田嗣治を語るのには不可欠な部分だし、もっともっと知りたかったなと感じています。
展示作品は100点ちかくもあり、、さまざまな時代、さまざまな種類がそろっていて、見ごたえはたっぷりありました。この点については、大満足でした。この展覧会をきっかけに、藤田嗣治が日本でもっともっとポピュラーな画家になるといいな~と思いました。
▼今年2018年は藤田嗣治の没後50年ということで、目黒区美術館で開かれた展覧会の記事もありますので、参考にどうぞ。(展覧会は終了しています。)
▼昨年2017年秋にみた東京国立近代美術館のMOMATコレクションでも藤田作品が展示されていました。こちらの記事もみてくださいね。