東京六本木にある新国立美術館で行われている『ルーヴル美術館展 肖像芸術』を見てきました。

フランスに行かずとも傑作が見られる。この感動を見逃せないね。
- 混雑度:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
- おすすめ度:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
- 所要時間:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
- 展覧会のみどころ:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
- 気になった作品:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
- お楽しみ①:音声ガイド
- お楽しみ②:半券サービス 東京ミッドタウンでフランス散歩
- 展覧会の基本情報:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
- おすすめ本:「ルーヴル美術館」に関する本
- おすすめ!今後の新国立美術館での美術展
- まとめ:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』新国立美術館
混雑度:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
★★★☆☆(★5満点 多いほど混んでます)
金曜日の夜に行きました。
ちなみに、混雑が予想される美術展は、この金曜日の夜間開館を狙うのが私の「混雑を少しでも避けるコツ」です。
最寄りの駅、東京メトロ乃木坂駅を降りたあたりから、「あれ?美術館に向かう人がほとんどいない。」と感じていたのですが。
なんと、予想がはずれて「空いている」ではないですか!!
え~。わりとテレビでも、取り上げている気がしたんですが。意外です。(うれしい意外なんですけれどね)
「ルーヴル美術館展」とネーミングバリューはすごいのですが、今回は「肖像芸術 人は人をどう表現してきたか」という副題にあるように、肖像画、肖像彫刻が中心になっていますので、あまり興味がわかないという人も多いようです。
そして、ビッグネーム画家による目玉作品が少ないので、イマイチ人気がないのかもしれません。
ただ、私が行ったのは展覧会が始まって1週間程度の金曜日ですので、これから夏休みに向けては、どんどん混雑が予想されます。
マイペースでのんびり見たい方は、夏休み前に訪れておくことをおすすめします。
おすすめ度:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
★★★☆☆(★5満点)
大学入試では世界史専攻の方、世界史に興味のある方に、おすすめします。
ルーヴル美術館はフランスにあるのですが、世界中の名作が収集されている、世界の美術館でもあります。
この展覧会でも、エジプトの紀元前の作品、メソポタミア(現イラク)の紀元前の作品、ギリシャ、アテネの紀元前の作品から始まって。
イタリアのアウグストゥス帝の肖像(紀元前1C~紀元後1C)、ハドリアヌス帝の肖像(1472年頃)。
スペイン王妃マリアナ・デ・アウストリアの肖像画(1652年頃)、フランスのルイ14世の肖像(1685年)、フランスナポレオンの肖像(1812年頃)。
1600年代後半~1800年代にかけての一般の人たち(婦人、家族、子ども、家庭教師)の肖像、などが一気に見ることができます。
古代から中世ヨーロッパの歴史を見るような展覧会になっています。
夏休みの世界史の勉強、課題学習にも使えそうな展覧会です。
子ども向けのジュニアガイドも用意されていますので、お子さんと一緒に楽しめます。
所要時間:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
ミュージアムショップもみて、合計で1時間30分ぐらいでした。
展示作品数は、そんなに多くないのですが、なんといっても混雑していなかったため、1点1点の作品をじっくり思う存分見ることができて、時間がかかってしまいました。
今回の展覧会は、マスクや彫刻作品から始まり、最も混雑が予想される絵画作品は中盤にならないと登場しません。
なので、入口付近が大渋滞ということは避けられるのではないかと予想しますので、マイペースに見ることができれば45分くらいあれば、(ミュージアムショップのぞく)展覧会自体は楽しめるのではないでしょうか。
新国立美術館の会場は、広く、ワンフロアーですべてが見て回れ見やすいので、気になる作品を見直すのも、わりと手軽に時間がかからずできますので、グルグル廻りながら、自分なりのルートで見ることもおすすめします。
展覧会のみどころ:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
①ナポレオンに注目
歴史に疎い人でも、ほとんどの人が名前は知っているであろう「ナポレオン」。
でも、どんな顔だったか?を知っていますか?
今回は、ルーヴル美術館よりナポレオンの肖像画が数点来日しています。それぞれを見くらべて、本当のナポレオンについて、想像してみることができます。
②さまざまな種類の芸術を楽しめる
とにかく見応えのある作品がならんでいます。
[展覧会パンフレット]
紀元前から19世紀にいたる、世界の国々(特にヨーロッパや中東)の作品が、ずらりと揃っています。
作品も、絵画あり彫刻あり、工芸品ありと見飽きることがありませんよ。
ルーヴル美術館の全8部門―古代オリエント美術、古代エジプト美術、古代ギリシャ・エトルリア・ローマ美術、イスラム美術、絵画、彫刻、美術工芸品、素描・版画―が総力をあげた企画です。各部門を代表する肖像の傑作およそ110点を一挙に堪能できる、きわめて貴重な機会となります。
「ルーヴル美術館展」公式ホームページより引用
本展では、3000年以上も前の古代メソポタミアの彫像や古代エジプトのマスクから19世紀ヨーロッパの絵画・彫刻まで、きわめて広範にわたる時代・地域の作品を対象としながら、肖像が担ってきた社会的役割や表現上の特質を浮き彫りにします。身近でありながら、奥深い肖像芸術の魅力に迫る本格的な展覧会です。
「ルーヴル美術館展」公式ホームページより引用
③当時のファッションを楽しめる
肖像から、それぞれその国や時代に沿ったファッションを楽しめます。
例えば、リゴー工房による「聖別式の正装のルイ14世」(リゴーの複製)からは、ルイ14世の豪華な衣装と美脚を見せつけるファッション。
当時ルイ14世は63歳。もじゃもじゃの鬘、真っ赤なリボン付きのハイヒール、若き日にバレエで鍛えた美脚(この時代は脚線美は男性のもの)。
[参考:「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」 中野京子 著/光文社新書]
王妃マリー・アントワネットの肖像画家、女性のヴィジェ・ル・ブランが描いた、ロシアのスカヴロンスキー伯爵の妻エカチェリーナ(1761-1829)の、頭に巻いたかわいいヘアーバンド。
顔だけでなく、ファッションにも大注目です。
気になった作品:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
「アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)」
アントワーヌ=ジャン・グロ 1796年
[展覧会パンフレット]
ナポレオン27歳若き将軍の姿です。オーストリアとの戦いの際の様子を描いたものです。
躍動感を感じる、周りの空気すらナポレオンの勢いでたなびいているようにも感じます。
ナポレオンの「私の辞書に不可能の文字はない」といった名セリフが、この肖像画から飛び出してきそう!!
自信に満ちた男って、かっこいいな~と思ったナポレオンでした。
現実のナポレオンは、小柄でルックス的にはイマイチだったという話もあるのですが、そこはご愛嬌でしょうか(笑)
ルーヴルのナポレオンといえば、ダヴィットの「ナポレオンの戴冠式」が名作です。もしもし、この作品が今回来日したら・・・・・・。混雑は恐ろしいことになったでしょうね。
(巨大サイズの作品であることを考えても、来日することは無理ですよね~。)
「第2代メングラーナ男爵、ルイス・マリア・デ・シストゥエ・イ・マルティネスの肖像」
フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス 1791年
かわいい男の子の作品。描いたのは、スペイン・ブルボン王朝のカルロス3世の宮廷画家のゴヤです。
肖像画の彼は、2歳8カ月の貴族の少年。この後、ナポレオンの支配に抵抗したスペイン独立戦争(1808-1814)で活躍するのです。
「こんなにかわいらしい少年が、ゆくゆくは戦争で活躍するなんてね~。」と、ちょっとおばあちゃん的な目で見てしまいます。
一緒に描かれている犬は、伝統的に貴族階級の男性を示すモティーフです。
犬はこちらではなく少年をじっと見つめている姿が、犬が少年のペットというよりも家臣のようにも見えて、少年の堂々とした姿を強調させているようです。
「スペイン王妃マリアナ・デ・アウストリア(1634-1696)の肖像」
ディエゴ・ベラスケス工房 1652年頃
[Wikipediaより このファイルは、著作権法の下での既知の制限 (すべての関連および隣接権を含む) に対して、自由であると認識されています。]
ださい?古めかしいドレス、しゃくれた顔に、ださださのヘアースタイルに大注目。
こんな絵を描かなきゃいけなかったベラスケスに同情します(笑)
同じような時期に、同じ画家ベラスケスが描いた「マリア・テレサ」(1652~1653年)の肖像画もおなじような衣装におなじょうな髪型をしているのですが、この作品の衣装については、中野京子さんが著書のなかで描かれているように、だいぶ「ださい」ファッションだったようです。
スカートはファージンゲールという枠で大きく左右へ広げたスカートで、腰回りが小さなテーブルのようになっている。
美しいドレープのつくれないこのスカート、実はフランスではとっくに流行おくれ。長らくヨーロッパの先端だったスペイン・モードも、国力の低下とともに、おちぶれてしまった。
この横広がりのスカートと、リボンや羽で飾りつけた兜のようなヘアースタイルは、何枚も後世に残っている。
[参考:「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」 中野京子 著/光文社新書]
お楽しみ①:音声ガイド
ナビゲーターは高橋一生さん。
あのセクシー?な落ち着いた声で、ルーヴル美術館の名品を紹介してくれます。
ボーナストラックとして「高橋一生 ルーヴル美術館探訪・肖像について語る」と「高橋一生 注目作品について語る」がついています。
高橋一生さんのファンには、ぜひぜひ聞いてほしいです。
そして、この音声ガイドでもっともおすすめなのが、ベートベヴェンの交響曲第3番「英雄」が音楽のみのトラックとして入っていることです。
この音楽を聞きながら、ナポレオンの肖像をみる。
目から、耳から、ナポレオンを楽しめますよ。
ちなみに、この「英雄」はベートベヴェンがナポレオンに捧げるための曲だったのですが。
「革命の子」だったナポレオンが「皇帝」となったことで、ナポレオンに幻滅したベートヴェンが、「彼もただの人間にすぎなかった。これからは己の野心のため全人権を踏みにじり、専制君主となるだろう」といって、表題「ボナパルト」だったのを単に「英雄」に変えた、といういわくつきの曲です。
[参考:「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」 中野京子 著/光文社新書]
革命を成し遂げた英雄だけではない、いろいろな、ナポレオンの姿が見えてきますね。
お楽しみ②:半券サービス 東京ミッドタウンでフランス散歩
半券サービスは、新国立美術館から徒歩5分程度にある「東京ミッドタウン」の対象店で使えます。
さらに、東京ミッドタウンでは、ルーヴル美術館展を記念して、フランスにちなんだ商品や限定商品を取り扱っています。
素敵な雑貨や、スイーツなど、それぞれのお店でチェックしたくなります。
展覧会の基本情報:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』
会期:2018年5月30日(水)- 2018年9月3日(月)
場所:新国立美術館(東京六本木)
展覧会ホームページ:▼詳しくはこちらへ。
おすすめ本:「ルーヴル美術館」に関する本
「はじめてのルーヴル」 中野京子著/集英社
本の中で紹介されている作品には、今回来日している絵画は無いのですが、ルーブル美術館の雰囲気が味わえる1冊です。
「ルーヴルって、こんなにいろいろな世界中の名作がそろっているのか~」 と、ただただ感動できます。
中野先生の、わかりやすい解説も読みやすいので、美術初心者でも楽しめます。オールカラーなのもうれしい!
そして、ルーヴル美術館自体を楽しみたいなら。
「ダ・ヴィンチ・コード」 ダン・ブラウン著 / 角川書店
話題になったのは、もう何年前でしょうか?
小説の内容もドキドキワクワクしますが、映像になると、さらにルーヴル美術館自体を、ぐっと身近に感じることができます。
「肖像画で読み解くイギリス史」 斎藤貴子 著/PHP新書
タイトルどおり、肖像画をとおしてイギリスの歴史を読み解こうというもの。
今回の展覧会で、肖像という芸術に興味をもったら、ぜひ読んでおきたい1冊です。こちらもオールカラーで読みやすいです。
おすすめ!今後の新国立美術館での美術展
ルーヴル美術展の後には、今後新国立美術館では、楽しみな展覧会が目白押しです。
「荒木飛呂彦 原画展」
ジョジョの奇妙な冒険の作者荒木先生の作品展。
会期:2018年8月24日~10月1日
「ピエール・ボナール展」
ボナールはナビ派の一員。「日本かぶれのナビ」の異名あり。
会期:2018年9月26日~12月17日
ナビ派の展覧会の記事はこちらにもあります。
「東山魁夷展」
生誕110年。日本画の巨匠!!の作品展。
会期:2018年10月24日~12月3日
東山魁夷の作品の記事はこちらにもあります。
3展覧会とも、まったく違ったテイストの展覧会ですが、どれも気になる!!という方が多いのではないでしょうか。
見落としてしまうことのないように、今から予定をたてておくことをおすすめします。
ちなみに、私は、一番の楽しみは「ボナール展」です。
まとめ:『ルーヴル美術館展 肖像芸術』新国立美術館
フランスに行けなくても、ルーヴルが来てくれる。
2012年、日本テレビとルーヴル美術館は、長期的な展望にたった新たな協力関係を築くことに合意し、2018年から4年に1度、計5回、日本で大規模な「ルーヴル美術館展」を開催することを決定しました。本展(2015年2月)、「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」は、2018年から始まるシリーズに先立つ記念すべき展覧会。これにより日本テレビは、2034年までの20年間に合計6回のルーヴル美術館展を日本で開催することになり、本展の開催発表を機に、「日本テレビ ルーヴル美術館展 20年プロジェクト」を立ち上げます。
「2015年ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」公式ホームページより
ありがたい状況が数年続くようですよね。
2015年は日常画がテーマで、フェルメールの「天文学者」やムリーリョ、ティッツィアーノ作品が来日して、大人気展覧会になりました。
ジュニアガイドも「名探偵コナン」とのコラボレーションになっていて気合入っています!
今回は「肖像芸術」でしたので、次回はどんなテーマになるのだろうか?どんな作品が来日するのか?と期待が高まります。
「肖像芸術」というテーマだった今回の展覧会は、「豪華な名作の並ぶはなやかな展覧会」ではないかもしれませんが、肖像という美術が、「紀元前から脈々と繋がる歴史」を、現代の私たちに身近なものとして感じさせてくれる一つなんだということが感じられました。

古代のロマンから、中世のヨーロッパの皇帝たちの華やかなファッションなど、見どころ満載で楽しかったな。