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『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』:国立西洋美術館 混雑は必須

東京上野(上野公園内)にある、国立西洋美術館で行われている『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』に行ってきました。(会期:2018年2月24日(土)~2018年5月27日(日))

 

この展覧会は、ここ最近の中でも混雑しそうだな~と思っていましたので、事前に混雑を避ける計画を立てていました。「天気のひどく悪い日を狙って、朝一で見に行きたい」とふつふつ狙っていました(笑)。

 

そして、その日はけっこう早めにやってきました!!

 

混雑度:『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』国立西洋美術館

(★5満点 多いほど混んでます)

平日の朝一番、9時半に到着しました。もちろん事前にチケットを買っておいて、スムーズに入場できるように準備万端にいていきました。

 

天気の悪い朝一番の時点では、会場の中は、天気のわりに「まあ~人が多いかな?」レベル。(この日は強風大雨、春の嵐が予報されていた日。予報よりは、早めに天気が落ち着いて、いい天気にむかっていましたが。)

 

天気のせいもあり、朝は穏やかな混雑でしたが、その後どんどん混んできました。帰る12時ごろには、わさわさ混雑していました。会場中で歩けないレベルではなかったですが、平日の午前中でこの混雑なので、休日ははたいへんな混雑が予想されます。

 

しかも、まだ展覧会が始まって数日でこの混雑具合なので、この後の春休み~ゴールデンウィークには大混雑が予想されます。

 

お勧め度:『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』国立西洋美術館

★★★★☆(★5満点)

ベラスケスが一気に7点も見られる「これは事件です。」といわれるほどの展覧会です。

ベラスケス以外にも、巨匠ルーベンスやティツィアーノ、ムリーリョも見ることができます。同じ上野公園内にあるお隣の東京都美術館で行われている「ブリューゲル展」でみることのできるヤン・ブリューゲル(父)の作品も出品されていました。

 

大作に囲まれて、ベラスケスを愛したフェリペ4世の宮殿にいるような気分になれます。幸せ~~。

 

所要時間:『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』国立西洋美術館

ミュージアムショップもみて、合計で1時間半オーバーぐらい。

 

まずは、ベラスケス7点を一気にコンプリートしました。せっかちな私は、会場内に入ってすぐに、空いてる部屋を目指して猪のように直進しました(笑) そのおかげもあってか、『狩猟服姿のフェリペ4世』『バリューカスの少年』『王太子バルタサール・カルロス騎馬像』『東方三博士の礼拝』は一人で独占して見ることができました!!

 

う~ん、感動。朝一で会場に入ったら、おすすめしい見方かも(笑)

 

上の階にあがったり、下に降りたりを繰り返しましたので、時間がかかっています。普通にマイペースでみれば1時間かからない程度で、全作品を見ることができると思います。

 

今回、気になったのはキャプション(絵の説明書)の文字が小さいことです。私は近眼なので、よく見えずほとんど読む気にならなかったです。文字を読むのが苦手な人は、キャプションを読まないと考えると1時間程度があれば十分なのかな~?と思われます。

 

作品点数は70点ほどで多くありません。飽きることなく、疲れることなく(笑)好きな作品をじっくりみて楽しむことができると思います。

 

展覧会のみどころ:『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』国立西洋美術館

[展覧会パンフレット]

 

①ベラスケス7点が来日

いわずもがなです。

宮廷画家ベラスケスは、国王フェリペ4世の庇護を受け、王室コレクションのティツィアーノやルーベンスの傑作作品から触発を受けて大成したスペインにおいて絵画芸術が到達し得た究極の栄光を具現した画家です。

 

そのベラクレスの残る作品は120点程度しかないといわれているなかで、一気に7点も来日しています。

 

ベラクレスといえば、美術の本で必ずといっていいほど紹介される名作、あの『ラス・メニーナス』を描いた人。『ラス・メニーナス』は来日はしていないのですが(来日するなんて考えられない?!)、あの名作を描いたベラスケスか~とそれだけで感動します。

 

②プラド美術館の絵画コレクション

世界屈指の美の殿堂として知られるプラド美術館は、16世紀以降のスペイン王家によって収集された、スペイン、イタリア、フランドル絵画を中心に、1819年に王立の美術館として開設されました。

 

絵画コレクションのなかには、宮廷画家であったベラスケスやゴヤの生涯を網羅する代表作群のほか、エル・グレコやムリーリョの宗教画、そしてラファエロ、ティツィアーノ、ボッス、ルーベンスなどイタリアやフランドル絵画の第一級のコレクションも含まれており、ハプスブルクとブルボンのスペイン両王朝の栄華を今に伝えます。

 

今回の展覧会では、特に国王フェリペ4世の宮廷を中心に、17世紀スペインの国際的なアートシーンを再現し、幅広いプラド美術館のコレクションの魅力をたっぷり見ることができます。

 

巨匠の作品の一例をパンフレットでもみることができます。

①下の裸体女性が横たわる絵はティツィアーノ『音楽にくつろぐヴィーナス』

男性が普通の人間に見えるせいか、女性も女神?というより人間そのものに見えます。

②左の作品は『小鳥のいる聖家族』ムリーリョ

③右下の作品は『聖アンナのいる聖家族』ルーベンス

 

参考:展覧会ホームページより・展覧会パンフレット

 

気になったかわいい作品:『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』国立西洋美術館

『狩猟服姿のフェリペ4世』

ベラスケス 1632~1634年

 

これ国王なの?というぐらいの質素な洋服ですが。リラックスした国王の姿、どこかしら?威厳と気品のある姿が描かれています。特徴的な長すぎる顔に、突き出た唇と下顎は修正することなく描かれています(笑)。

 

フェリペ4世は、若干16歳で国王になりますが「無能王」とあだ名をつけられるほどの国王だったそう。ただ、美術品、絵画に対する審美眼だけは、センスが良かったそうです(笑)。

 

フェリペ4世のお気に入りの宮廷画家だったベラスケス。「彼が落とした絵筆を国王が拾ってやった」といったふたりの逸話が残っているほどです。二人の関係は「他の画家には王の肖像画は描かせない」との取り決めをかわすほどだったそうです。「恋人かい!」とつっこみたくなります。

 

また、ベラスケスは宮廷画家だけはなく、最終的には宮廷官史の頂点といわれる王室配室長にもなる出世までするほどで、フェリペ4世から絶大な信頼を得ました。

 

それにしても、落ち目だった王朝の「無能王」フェリペ4世を威厳あるように描く、現実を知っていながら、描いたベラスケスたいへんだっただろうな~(笑)

 

参考:『ハプスブルグ家12の物語』中野京子著

 

『王太子バルタサール・カルロス騎馬像』

ベラスケス 1635年

[展覧会パンフレット]

 

こちらも今回の目玉作品。ぽっちゃりした馬にのった王太子がかわいい。ただ、この王太子16歳の若さで亡くなってしまうのを知るとちょっと悲しい。

 

『甲冑姿のカルロス2世』

ファン・カレーニョ・デ・ミランダ 1681年

 

描かれているカルロス2世は、フェリペ4世の息子。長い顔に、やけに赤い突き出たあごはお父さんにそっくりですが、お父さんよりも線がほそく、甲冑がブカブカに見えてしまいます。

 

ぜったいに闘ったりできなそうです(笑)。まっ白い顔、赤々しい唇、絵を見てわかるように、生まれつきなにかしら病気であったようです。4歳で国王に即位し、長生きはできないといわれていたがなんとか39歳まで生き延びるのですが、子どもはできませんでした。

 

「呪われた子」と呼ばれた彼カルロス2世に後継ぎができなかったために、200年にわたったスペイン・ハプスブルグ家は完全に終焉してしまいます。

 

参考:『ハプスブルグ家12の物語』中野京子著 

 

『小鳥のいる聖家族』

ムリーリョ 1650年ごろ

[雑誌『うえの』上野のれん会発行より 右下の作品]

 

この家族の肖像画は、聖家族っていわれなければ、ふつうの温かい家族のように見えます。

 

だって大工の父ヨセフが真ん中にいるんです!!

 

見慣れた聖家族は、イエス様を抱いたマリア様がまん中にいて、ヨセフはいなかったり、端っこにいるのに。主役級の大きさに描かれたヨセフは、若々しくかっこいいです。

 

『犬と肉の寓話』

パウル・デ・フォス 1636-38年

 

イソップ童話が元になった作品。くわえていた肉を川におとしてしまう犬が、描かれています。川面にうつった肉をくわえた自分の姿をみて、さらにその肉を奪おうとした犬が肉をはなしてしまうシーンです。

 

「 二兎追うものは一頭も得ず」や「目の前にある確かな価値を大切に」などのことを学ぶ絵画ですが、そんなことよりも、ただただ、鍛えられたスリムなかっこいい犬のむちゃくちゃびっくりしてる顔がかわいいです。

 

『ブリュッセルのオメガングもしくはオウムの祝祭:職業組合の行列』

デニス・ファン・アルスロート 1616年

 

横長の巨大サイズの作品に何人人がいるんだ~~!と叫びたくなります。ウォーリーを探せ状態の作品。

新ウォーリーのふしぎなたび (新ウォーリーのえほん)

見れば見るほど細かな描写で発見があり楽しいです。ブリューゲルの『バベルの塔』を思い出します。

www.pooh70.com

 

お楽しみ①『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』スペインのハプスブルグ家

スペインのハプスブルグ家について知っていると、さらに楽しめます。私は、本『ハプスブルグ家12の物語』中野京子著を事前に読んでおきました。著者の中野さんは、昨年大ヒットだった「怖い絵展」を監修した方です。

 

この本の中では、ベラスケス(フェリペ4世)について書かれているのは、12章あるなかの1章だけですが、本を読んだことで歴史の流れを知りながら絵画を楽しむことができました。

 

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

 

 

お楽しみ②『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』ブリューゲル作品

お隣の東京都美術館でおこなわれている「ブリューゲル展」(期間:2018年1月23日(火)~4月1日(日)とともに、こちらの『プラド美術館展』でも、ブリューゲルの作品を見ることができます。

 

www.pooh70.com

 

ヤン・ブリューゲル(父)の美しい花の作品、同じくヤン・ブリューゲル(父)他の『視覚と嗅覚』が展示されています。二つの展覧会を見ると、「あ~、あの花のヤンね~」と芸術通の雰囲気をだせます(笑)。

 

まとめ:『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』国立西洋美術館

7点のベラスケスの作品はもちろん、プラド美術館に行けずとも、ここ東京上野で見られるなんて感動という作品が多くある展覧会でした。

なによりもパンフレットで、「事件」とまでうたわれているベラスケスの7点作品の来日は見逃せません。

 

よく言われることですが、作品をみるにつれて考えたのは、ベラスケスは国王に大事にされていて出世もしたが、幸せな人生だったのかどうか?ということ。

 

私は、今回のベラスケスの作品をみて「やっぱり、もっともっと宮廷の外にでて、いろいろな作品に挑戦したかったのではないかな~」と思いました。もちろん今回来日した作品以外にもベラスケスの作品はありますが、やはり代表的な作品は宮廷の中で描かれた、宮廷関連の人物だということを考えると、ちょっと飽きてしまうこともあったのではないかな~と。

 

国王一家は決して美しいとはいえない一家ですし(笑)、同じような顔(みんなあごが突き出ているなどの遺伝子は強いようで)をずっと描くのもつらかっただろうに・・・・・・。と、なんだかベラスケスにちょっと同情してしまう展覧会でもありました。

 

国王に寵愛されるのも、たいへんなんだな~。でも彼、きっと忖度が上手な男だったにちがいないとも思っています(笑)

 

それにしても、これだけ素晴らしい作品たちが飾られていたというフェリペ4世の宮廷、想像しただけでもワクワクする空間だったんだろうな~と感じました。

 

展覧会の基本情報:『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』国立西洋美術館

会期:2018年2月24日(土)~2018年5月27日(日)

国立西洋美術館 東京上野公園内

3月初旬は美術館前の梅がきれいに咲いていました。3月末になれば、上野公園の桜が満開になりますので、お花見も一緒にできますね。

 

おすすめ本:『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』

ベラスケスについて分かりやすく知ることのできる本。この本のシリーズは、見やすいのでおすすめです。

もっと知りたいベラスケス ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

もっと知りたいベラスケス ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)