国立新美術館で行われている展覧会『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』を見てきました。(会期:2018年2月14日(水)~ 5月7日(月))
人気のある「印象派」の作品が多く来日しているので、混雑が予想されるため早めに、行ってきました。春休みが始まるとさらに混雑が予想されます。
- 混雑度:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
- 所要時間:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
- おすすめ度:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
- 展覧会のみどころ:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
- 気になったかわいい作品:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
- お楽しみ①『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』から絵画の歴史、世界の歴史を知る
- お楽しみ②『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』ピカソ
- お楽しみ③『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』セザンヌ夫婦が来日
- お楽しみ④『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』あの!ドガの踊り子ブロンズ像がいた
- まとめ:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
- 展覧会の基本情報:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
- おすすめ本:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』
混雑度:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
★★★★☆(★5満点 多いほど混んでます)
金曜日の夕方6時ごろ到着しました。展覧会が始まってまだ1週間程度ですが、思ったより混雑しています。
気になったのは、やけにサラリーマンの男性、わりと若い30~40代ぐらいの男性一人で見に来ている人が多いな~ということ。「そんなに男性が好むような内容の展覧会かな?」「展覧会の目玉作品であるルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」(パンフレットでは「絵画史上最強の美少女(センター)」と言われている!!)を見に来たのかな?」と、ちょっと謎なのですが。
今まで、どちらかというと印象派が好きなのは女性が多いのかな~?と思っていたので驚きました。
好きな作品をめがけて、フットワークよく見てまわれば、十分じっくり見られる程度の混雑ぶりです。会場が広いので、歩くのもたいへんという混雑レベルではありません。思ったよりは混んでいたので★4にしましたが、★3でもいいかな?くらいの混雑レベルでした。
今後の予想ですが、春休みのはじまりからゴールデンウィークに向けて、さらなる混雑が予想されます。
所要時間:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
ミュージアムショップもみて、合計で1時間半ちかくかかってしまいました。わりと急いで鑑賞してこのくらいです。
作品の点数(60点ほど)は多くないのですが、私にとっては、とにかく気になる作品が多く、じっくりみた作品が多かったためにわりと時間がかかりました。
同じ画家の作品が近くに展示されているので、見やすい展示になっています。時間が無い方は、好きな画家に重点をおいて見ると、所要時間は短縮できると思います。
おすすめ度:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
★★★★☆(★5満点)
印象派展なのかと思いきや、印象派以前のドラクロワ、アングルやラトゥールの作品、印象派以降のピカソやブラックといった画家の作品も見ることができます。印象派が生まれる前と印象派その後の絵画の歴史を見ることもできます。ビックネームの作品が多いので、絵画鑑賞初心者でも楽しい展覧会です。
ゴッホが好きな人におすすめ
パリ時代のゴッホの作品、自殺してしまう晩年の頃のゴッホの作品を見ていると、これらのまったく異なる作品たちを短い画家人生の中で描いていた、ゴッホの素晴らしい才能にほれぼれしてしまいます。
ゴッホ作品を見た後には、ゴーギャンの「肘掛け椅子の上のひまわり」を見ることができます。ゴーギャンがアルル(ピカソと共同生活を送った)を去った後に、描かれた作品で、大きなひまわりはゴッホとの思い出が感じられる作品になっています。この作品をみて、ゴッホのなんともいえないはかない人生にジ~~ンと思いをはせてしまいました。
2016年には、ゴッホとゴーギャン2人の共同生活に焦点を当てた展覧会もありました。
記憶に新しい2017年冬には、ゴッホ展が東京で開かれました。
現在(2018年3月4日)までは、この展覧会『ゴッホ展』は京都に巡回中です。
[京都:展覧会パンフレット]
京都と東京のパンフレットの表紙の違いにも驚きました!
[東京:展覧会パンフレット]
展覧会のみどころ:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
①豪華な画家たちの作品が集合
ドラクロワ、ドガ、マネ、ルノワール、ファン・ゴッホ、ゴーギャン、モネ、セザンヌ、マティス、ピカソ…豪華な作家たちの作品を見ることができます。
絵画史上、最も有名な少女像ともいわれるルノワールの《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》と、セザンヌの《赤いチョッキの少年》は印象派の中でも人気の高い両巨匠の「最高傑作」として知られています。
[展覧会パンフレット]
②ビュールレのコレクターとしての全体像をみる最後の機会
ドイツに生まれ、スイスで後半生をすごしたエミール・ゲオルク・ビュールレは、第一次・第二次世界大戦を経験し、実業家として成功して富を築き、美術作品を収集しました。コレクションは彼の死後、美術館として一般公開されましたが、スイス国外にコレクションがまとまって公開されたのは過去に数回のみでした。
2020年には、チューリヒ美術館に全コレクションが移管されることになり、今回はビュールレのコレクターとしての全体像がみられる最後の機会です。
③モネの最高傑作大作《睡蓮の池、緑の反映》が来日
モネの代表作の一つ、高さ2メートル×幅4メートルの大作《睡蓮の池、緑の反映》は、これまでスイス国外には一度も出たことがありませんでした。門外不出といわれたモネの最高傑作を見ることができます。
*会場で写真をとることができました。
[参考:展覧会パンフレット・展覧会公式ホームページ]
東京上野にある国立西洋美術館(常設展)で見ることのできるモネの『睡蓮』と比べてみるのも楽しいです。
クロード・モネ 『睡蓮』(西洋美術館所蔵)
こちらのサイズはほぼ正方形の(200.5センチ x 201センチ)になっています。
この作品も大きく見えていたけれど、それよりも数段に大きい作品が、今回来日してます。
モネの『ジヴェルニーの池』の作品をみるといつも、映画『タイタニック』で沈んでしまった絵画たちを思い出します。ローズの収集していた絵画の中にモネ『睡蓮』の作品もありました。映画の中では、ピカソの絵も「なんとかピカソ」で登場しますね(笑)。
気になったかわいい作品:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
「二人の農夫」 フィンセント・ファン・ゴッホ 1890年
大地は白ぽい色で波打ち、空は黄緑色で波打つような雲におおわれています。朝なんだか、昼なんだか、夕方なんだか??これは現実の世界なのか?自分は、ゴッホの夢の世界に入り込んでしまったのではないか。と不安にかられるような気分にもなります。
この絵の描かれた1890年7月にゴッホは自殺してしまいます。肉体的にも精神的にもだいぶお疲れだった時期の作品です。
「花咲くマロニエの枝」(部分) フィンセント・ファン・ゴッホ 1890年
こちらも、同じ1890年に描かれた作品。マロニエとは和名「トチノキ」です。
一見はかわいい作品だな~と思うのですが。波打つ筆づかいが目立ち、見れば見るほど、目が廻るような・・・・・・。
ゴッホワールドに引き込まれていきます。ブラックホールみたいな作品でした。
「ベルヴュの庭の隅」 エドゥアール・マネ 1880年
[展覧会パンフレット]
小さくてわかりづらいのですが、下段の右側の作品がマネの「ベルヴュの庭の隅」です。マネは、モネと間違えやすいですが違う人です(笑)。
(ちなみに、左はじがモネの作品『ジヴェルニーのモネの庭』)
私は、マネ派。マネの作品は、作品から感情を感じるような気がします。この作品からは、屋外の日の暖かさ、風の匂いを感じました。庭で読書をしている女性の姿から、なぜか『赤毛のアン』を読みたくなりました。
お楽しみ①『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』から絵画の歴史、世界の歴史を知る
印象派に繋がるヨーロッパ絵画の流れがわかるように展示されています。
肖像画からはじまり、ヨーロッパの都市が描かれた都市景観図、19世紀のフランス絵画へ。そして印象派の登場!!その後のポスト印象派セザンヌ、ゴッホ。20世紀の初頭のフランス絵画からフォービズム・キュビズムと言われるモダンアートへ繋がっていきます。
それぞれの時代背景から、生まれてきた絵画たちを楽しむことができます。
ここ最近の人気のある本『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』を読んでこの展覧会に行くと、絵画を見ながら世界の歴史についても知ることができそうだな~と思いました。
もしかして、この本の人気で、一人サラリーマンが多く来場していたのかも!?
お楽しみ②『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』ピカソ
なんだか不思議な絵画を描くイメージの強いピカソですが、今回見たピカソは「何が描かれているかわかる!!」レベルで、家に飾りたいような作品でした。
普通に絵画として楽しめたパブロ・ピカソの作品(笑)。『花とレモンのある静物』1941年、『イタリアの女』1917年、『ギュースダヴ・ユキオの肖像』1901年に注目です。
やっぱり絵描くの上手いんだな~ピカソ(笑)
お楽しみ③『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』セザンヌ夫婦が来日
どうも、セザンヌの描く奥さんの魅力がまだまだ理解できない私です。
今回は、セザンヌの描いた奥さん『扇子を持つセザンヌ夫人の肖像』と、セザンヌ自身が描いた『パレットを持つ自画像』が揃って来日しています。奥さん、あいかわらず感情を読み取れません(笑)。
原田マハさんのセザンヌの奥さんを題材にした小説があります。そちらを読んでこの作品を見るとさらにおもしろいです!!
お楽しみ④『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』あの!ドガの踊り子ブロンズ像がいた
原田マハさんの小説『ジヴェルニーの食卓』で、ドガと親密な関係にあったメアリー・カサットが、ドガの死後に、この踊り子ブロンズ像を見つけて何ともいえない感情にかられるという小説がありました。この小説を読んだからか、踊り子ブロンズ像は、たしかにちょっと不気味な感じがしてしまいました。足首のしわや、腕の肘など、生々しさが伝わってきます。
原田マハさんの小説『ジヴェルニーの食卓』は、印象派の巨匠マティス、ドガ、セザンヌ、モネを題材にした短編小を集めた一冊。印象派メンバーを知るのに、おすすめの本です。
まとめ:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
あまり期待のしていなかった展覧会だったのですが、おもったよりも見やすい作品、巨匠の作品が多く、単純に楽しむことができました。絵画鑑賞を始めたい人には、ぜひおすすめしたい展覧会です。
これだけの作品を集めつづけたコレクターのピュールレさんの、財力と美術を見る目の素晴らしさにも驚きました。日本にいながら1600円で、ピュールレさんがお金をいくら注いだかわからない(笑)コレクションを見ることができて幸せでした。ありがとう!!ピュールレさん。
展覧会の基本情報:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』国立新美術館
会期:2018年2月14日(水)~ 5月7日(月)
東京の後は、福岡から名古屋に巡回します。
会場:国立新美術館 東京都港区六本木
東京メトロ千代田線乃木坂駅 青山霊園方面改札 6出口(美術館直結)
東京メトロ日比谷線六本木駅 4a出口から徒歩約5分
都営地下鉄大江戸線六本木駅 7出口から徒歩約4分
詳しくは、展覧会の公式ホームページで確認できます。
おすすめ本:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』
★今回の展覧会向けに出版された本
『印象派への招待』