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東京 展覧会『茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術』楽茶碗の魅力

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展覧会『茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術』に行ってきました。

歴代の楽茶碗が展示され東京で見られるということで、楽しみにしていました。

楽茶碗といえば、茶道の世界では「憧れのお茶碗」として名高いものです。手捏ねで作られる暖かさ、ぼってりした土を感じるような、手にぴったり収まるような、そしてなにか重み感じるような茶碗に惹きつけられます。また、一子相伝で伝わるお茶碗ということで伝統という格式も感じます。

 

 

展覧会の基本情報

2017年3月14日(火)~2017年5月21日(日)

東京国立近代美術館(東京・竹橋駅)

 

展覧会の内容 

450年続いてきた楽茶碗の伝統を見ることのできる貴重な機会です。また、楽焼・楽家を背負っている当代の意識が垣間見られる展覧会だと思います。

楽焼とは

 

樂焼は、織田信長、豊臣秀吉によって天下統一が図られた安土桃山時代(16世紀)に花開いた桃山文化の中で樂家初代長次郎によってはじめられました。

樂焼は、轆轤や型を使用せず、一点一点手捏ね(手捻り)によって制作されていて、それは初代長次郎にはじまり現在15代まで続いています。さらに形ができた段階で、今度は篦によって土をそぎ落とすという方法により造形を作っていきます。 

 

今回の展覧会では、千利休が愛した初代長次郎の黒樂茶碗「大黒」をはじめ、歴代の重要文化財のほとんどを一挙公開します。

《参考「展覧会パンフレット」より》

 

混雑度:★★(★5満点 多いほど混んでます)

始まってすぐの金曜日の5時過ぎに行きました。大混雑を予想していましたが。あれ~?というぐらい人がいませんでした。

熱心に見ている方は、仕事帰りのような男性が多かったです。外国人のかたもいました。これからどんどん混んでくるのではないかと思います。

 

所要時間

1時間半ぐらいで見終わりました。

あまり好みではない15代目の作品は一回だけみて、14代目までの作品は2回見ました。全体的に15代目の作品が多いので、1時間くらいでも十分楽しめるなと思いました。さっと見るだけだと、似たような(もちろん細かくは違うけれど)黒い茶碗と赤い茶碗が並んでいるだけということになってしまいますが。

 

お勧め度:★★★★★(★5満点)

まとめて楽茶碗だけを見る機会は少ないので、おすすめです。一つ一つは、今後も展示会で出会うチャンスもあるかとは思いますが、一挙に見られるチャンスは(しかも東京で)なかなか無いような気がします。

陶芸という展覧会としてもおススメなのですが、家業がある人や、親・家の仕事を継ぐことに悩みのある方におススメしたい展覧会です。音声ガイドを聞くと、15代の家業・家に対する意識が強く感じられます。

 

お楽しみ①音声ガイド

当代吉左衛門さんの音声に聞きいってしまいます。

楽家、茶碗制作の真摯に向き合ってきたことを語ってくれています。

淡々とお話されていますが、きっとさまざまな葛藤を抱えていたのだろうと感じます。

 

お楽しみ②初代長次郎の作品が多く見られる

初代の有名な作品が多く展示されています。

「お~これが無一物か」「これが大黒なんだ~」とつぶやきが聞こえてきそうです。

それにしても、長次郎の作品は赤も黒も表面が「カサカサ」です。

なんか、パリっと割れてしまいそうで怖いです。

 

お楽しみ③16代目の作品が見られる

当代吉左衛門さんの息子さんの作品が見られます。

まだ、35歳くらいの若いかたです。

見た目は優しそうな感じの男性で、作品もすごく優しそうな、育ちのよさそうな、素直な作品だな~と思いました。

彼は、イギリスに留学していたそうです。お父様(15代目)は若いころイタリアに留学していたそうで、なんとなくお二人の作品にもその留学先の雰囲気も出ているような気がして笑えました。

 

お気に入りの作品

ほとんど柄のない「無」のお茶碗から一つを選ぶのは難しいですし、楽茶碗だったら何でもいいから欲しいというのが本音ですが(笑)。

①3代目道入(ノンコウ)の「僧正(そうじょう)」

お稽古では黒楽を使うことが多いので、赤楽がほしいなと思います。

また、少し釉薬のツヤツヤ感がほしいです。

赤い土の色の茶碗に白い色紙のような紋様が描かれています。

銘は僧正が緋の衣をまとって端坐しているような姿に見立てたもの。

『和楽2014年3月号別冊付録 日本の名茶碗50』より

明るい若々しい感じもしますが、どこかずっしりした貫禄を感じるお茶碗です。

 

②14代覚入 赤楽茶碗 銘「杉木立(すぎこだち)」

楽茶碗ぽくない作品ですが、モダンな感じがします。

ちょっとケーキぽくも見える、かわいらしいお茶碗です。

自分のお金をだして買いたいと思えるお茶碗です。

 

③11代目慶入 貝貼浮文白楽茶碗 銘「潮干(しおひ)」

展覧会の図録を買って気づいたお茶碗の秘密があったからです。

白楽もあるんだ~、素敵だな~と思っていたのですが、家で図録をみるとなんとお茶碗の中(見込み)に貝と小さな石のレリーフが貼りついています。

かわいすぎです。

すごくほしい!!

 

感想

作品をみることは、もちろん楽しみでしたが・・・。

実は、もっと気になっていたのは、その家に生まれること、450年の伝統はどういう感じ、どんな意識なんだろう?ということでした。

天皇家、歌舞伎役者といった伝統芸能一家、茶道、華道といった家元の一家。身近なところでは、お店を持っている一家、農家・漁師・医者といった家業を持っている一家の人たちが家を継いでいくこととは、どんな気分なんでしょうか?

仕事を探す必要がない羨ましいことのような気もしますし、自由がないというかわいそうな気もしますし、継がなくてはいけないのだろうかというプレッシャーはどれほどなのかと考えます。

一子相伝という伝統の繋げ方も気になっていました。

当代吉左衛門氏が対談の中で、

父は「一子相伝で伝えることは教えないことだ。」とよく申していました。

展覧会図録より

きっと、見て・マネて・自分で考えて、自分の作品を作りだし、その伝統を身につけて繋げていくことなんだなと感じました。

また吉左衛門氏が音声ガイドの「楽家の歴史、一子相伝について」のコーナーで、「自分の作品が、父親のものに似てしまうことが、悔しかった」という発言にびっくりしました。私は、だんだん似ていることに気づいて「嬉しい」のかと思ったのですが。

ここが”私”と”家を継いでいく人”との、そのものに対する本気度の違いなんだと感じました。

茶道のお稽古でも、もちろん先生は教えてくれるが、一番の勉強は他の人のお点前やお作法を見て学ぶことだと思っています。マネて真似て、上手になっていくと思っていたし、上手になるイコール上手に真似るようになると思っていました。私は、お稽古の茶道に対して、結局はそこまでしか考えていなかったし、そんなに深く考える必要もないのです。でも、家業を継いでいく(伝統を繋いでいく)人たちは、まったく違うレベルの考えなんだな~とつくづく感じました。マネるのは、ほんの入り口の段階で、その先を見据えて、その先こそがその人の生き方・作品なんだなと思いました。