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本『京の和菓子帖』日菓 読書感想

忘れかけていたことをふと思い出すことってありますか?

 

そのこと(人)に夢中になっているのに、ふとした瞬間に「忘れていたな~こんな気持ち」と感じることがありますか?

 

私は最近、忘れかけていた気持ちを思い出した瞬間がありました。

 

それは、このブログで記事を書いている和菓子に関すること。

ある一冊の本に偶然出会ったことで、その瞬間は訪れました。

『日菓のしごと 京の和菓子帖』

夏の暑いなか、図書館でふと手に取った本。

 

「日菓」とは若い女性2人組の和菓子創作ユニットです。この本では、彼女達の79作品が紹介されています。

 

決して、豪華な美しい和菓子というわけではありません。

そっけないぐらいの簡潔なデザインなのですが、色や素材がその和菓子のかわいらしさや魅力を引き立てています。

 

そしてなによりも、和菓子につけられた銘が素敵なのです。

銘も、女子らしくかわいらしいものです。難しい言葉ではなく、日常生活にありふれた言葉で和菓子を表現しています。

和菓子の銘

茶道のお稽古では、銘をつける練習をしますが、馴染みのない「なにそれ?」「聞いたことないけれど?」レベルの「禅語」や「季語」を選んだりすることが多いです。(私が無知なこともありますが(笑))

 

もちろんお稽古ですから、知らなかった言葉を学ぶことは大切なことですが、なんだかよく意味のわからない言葉をつかってしまうこともあります。

 

でもこの本を読んで、和菓子を楽しむだけならば、

 

銘をつけるということは、自分の感じた気持ちを素直に表現できればそれでいいんだな~。

つけられた銘にたいしても、「なるほどね!」とびっくりしたり、「ふふ」と笑うぐらいの感じで楽しめるものなんだな~。

 

と感じます。

 

そもそも、今の季節や生活、自分の気持ちを表現するために、和菓子の銘をつけるのではないかという基本的なことを思い出しました。

和菓子の魅力

さらにこの本は、忘れかけていた和菓子の魅力や、私が和菓子を好きな理由を思い出させてくれました。

 

甘いものがそもそも好きだった私が、茶道のお稽古で知り合ったのが和菓子の世界。

茶道のお稽古を始めた頃は、なにもかもが新鮮で、茶道の魅力に引きつけられながらも、お稽古の度に緊張していました。

その中で、その緊張をほぐしてくれるものが和菓子でした。

 

美しく、かわいらしい、見た目で楽しめる和菓子。

人の気持ちをほっとさせてくれる癒しの存在の和菓子。

何がでてくるのかとわくわくさせてくれる和菓子。

美味しい和菓子。

銘を聞いて楽しめる和菓子。

表現されていることを読み解くのが楽しい和菓子

シンプルなデザイン、形、色で表現した、飾りたては少なく無駄なのものは削った和菓子。

 

特に、シンプルな形で何かを表現することこそが和菓子の最大の魅力だということを、忘れかけていました。

 

また、形そのものを和菓子で作るのは簡単?なことですが、そのものをシンプルに和菓子として表現する面白さ、奇抜さを知った時の感動などすっかり忘れていました。

 

こんなにも魅力たっぷりの和菓子を、ただ食べて美味しいものというだけの食べ物として最近は考えていたような気がします。

 

和菓子よ。ごめんね。

私が気に入った和菓子ナンバー5

この本の79作品の中から、私が気に入った銘と和菓子を紹介します。

5位 「盗み聞き」

黄緑色のきんとんに、白いうさぎの耳がついた和菓子です。しかも片方の耳は軽く折れていて聞き耳になっています。

生い茂った草のなかに、なにかを聞こうとしているうさぎの耳がピクピク動く姿が想像できます。

4位 「波かんむり」

今の時期だからこそ、心ひかれたのかも。

王様の冠の形を水色のこなし製で作り上げて、冠の上の部分を波のきらめきとして表しています。

うすい水色がひんやりした印象を与えます。

ちなみに、王冠は夏に頑張っている人への賞賛だそうです。

3位 「五分咲き」

生砂糖製の干菓子。

満開の花も美しいけれど、花の蕾の頃、満開を迎える少し手前の若々しい美しさを、桜?の花びらの一部が折りたたまれてることで表現しています。

満開ではない、その手前の美しさを簡単に表現していることがすごい!!

2位 「のの字」

ふふふ。

これは、茶道をやっている人がクスリと笑ってしまう銘です。

お茶を点てて仕上げに「の」の字を描いて茶筅を引き上げる。お稽古を始めた頃は先生が「のの字を最後に描いて」とよく言っていたな~。

お茶碗に入った形の、半球の形の抹茶羊羹です。

1位 「3時」 

まあるい羊羹の一部4分の1がカットされた形。

時計の針が3時を指している感じになっています。

3時のおやつを、シンプルな形で表現していることに感動しました。

 

ぜひ、本を見てどんな和菓子なのか見てほしいです。

和菓子への愛

本の「おわりに」書かれた杉山早陽子さんの言葉から、日菓がこれらの和菓子を作り上げた気持ちが手に取るようにわかります。

 

「見て美しい、食べて美味しい」。

わたしがこんなにも和菓子を好きになってしまった理由。たった50gから広がる世界は果てしなく、菓銘と言われる和菓子のタイトルと合わさって、わたしたちに美しい情景を見せてくれる。その情景を頭に描きながら、口に運んで味わう。二度美味しい、なんて素敵なことだろうと強く想うことが和菓子をつくるわたしのエネルギー源になっている。

(省略)

ただ、わたしたちが表現するのは雅で奥深い世界ではなく、日常、いまである。

わたしたちが生きているいまの時代、いま見ている風景の和菓子があってもいいんじゃないかというところから日菓は始まった。

伝統の和菓子(雅な世界)と日菓の和菓子(日常の世界)がお互いに照らし合えたら、和菓子の世界は前よりももっと輝くかもしれない。

 

この「あとがき」を読んだ後で、もう一度日菓の作品を見ると、

 

現代の日本で、和菓子は人気のスイーツとは言えない、上生菓子などの和菓子はだれもが手軽に食べるものではないという現状があります。

このような現状のなかで、和菓子の魅力を表現し、未来へそれを伝えていきたいという日菓の二人の心が、どの和菓子にも入り込んでいるように見えてきます。

 

かわいいだけではない、心のある和菓子が、私の和菓子愛に響いてきていたのです。

 

私も日菓のふたりのようにさらに、和菓子を愛していこうと思っています。

そしてこのブログを通して、日菓のように、もっと和菓子の魅力を伝えてきたいと感じています。

日菓のしごと 京の和菓子帖

日菓のしごと 京の和菓子帖

 

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www.pooh70.com