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茶箱 茶道★和菓子★展覧会 

茶箱の中は好きなモノでいっぱい!

茶道から学ぶ和菓子の歴史

茶道を習う者にとって、お茶席で出される和菓子は欠かせない楽しみの一つであると言えます。
私にとっては、見た目でも、味でも、菓銘(名前)でも楽しませてくれるスターが和菓子です。
なので、デパートに買い物に行ったときは老舗和菓子屋さんを必ずチェックします。
街を散歩する時にも、街の中の和菓子屋さんを見つけると必ずチェックしています。
同じお店でも季節によって和菓子の内容が変わることが多いので、新しい発見ができます。
お茶席での私のスター“和菓子”がどのようにしてお茶席に登場したのか、茶道の歴史とともに調べてみました。

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安土桃山時代・江戸時代前期

室町時代、禅宗の寺院、武家階級に広まった茶の湯は、千利休によって大成されたと考えられています。
千利休の『利休百会記』という茶会記には、小麦粉を水ときして薄く焼き、みそを塗って巻いたものと考えられる「ふのやき」が幾度も登場したとあります。
このお菓子は、客を招く亭主手作りの素朴なものだったことがわかります。
この『利休百会記』にもっとも多く登場するのは「ふのやき」で68回。次いで焼き栗などの栗菓子53回だそうです。
『天王寺屋会記』、『松屋会記』といった茶会記には、栗、柿、胡桃、蜜柑などの木の実やくだもの、葛餅、栗粉餅(くりこもち)といった餅類、調理された昆布や蛸、しいたけなどの茸類、ごぼうなどを菓子としていたようです。
室町時代には日明貿易により砂糖がもたらされたそうですが、当時はとても高級なものだったのですから。
うーん、今の美しい和菓子から考えるとあれ?と思いますが当然のことなのです。

江戸時代中期以降

京都では琳派(りんぱ)を代表として古典回帰がみられ、『源氏物語』『古今集』を素材とした王朝趣味のサロンが公家や僧侶、武家や上層階級の町民などにより形成されます。
元禄期以降、京都を中心に高価な白砂糖を使った上等な菓子「上菓子」が登場します。
この時代の代表的な鳳林承承(ほうりんじょうしょう)の日記『隔蓂記(かくめいき)』によると、菓子を菓子屋に注文する記事があります。
菓子を注文する時には、菓子の意匠や菓銘(菓子名)の描かれた、菓子見本帳、菓子絵図帳と呼ばれるものが用いられていました。
この元禄文化を背景に、経済の発展の影響、社会の安定により砂糖の流通量も増加し多様な菓子が生まれました。
17世紀後期の京都では、和菓子は現在のように意匠や菓銘に、古典文学や歴史、風土、四季の移ろいの様子が取り入れられ、洗練された菓子としての形を整えるようになったのです。

[例] 菓銘「薄氷(うすらひ)』
初冬の朝、池の氷に紅葉が閉じ込められた情景をみて作られたという菓子です。池の氷を道明寺生地で、紅葉を赤い練り羊羹(当時は柿で)表したものです。

また、有名な茶人(茶の湯をたのしむ人)たちが増えて、流派や家元制度が確立する頃になると、茶の湯の菓子は洗練されてきます。特定の人物好みによって作られた菓子は「御好菓子(おこのみかし)」とされ、高名な茶人の好みである菓子が現在も伝えられています。
松平不昧(まつだいらふまい)の「不昧公好み」として、松江銘菓の若草、菜種の里、山川などが有名です。

より深く・より楽しく和菓子を知るために

和菓子一つにしても、時代の経済状況、文化・芸術が大きく関わってくるものだと思うとおもしろいです。
また、菓子の意匠や菓銘(菓子名)を考えると、さらに小さな和菓子の世界は大きく広がります。
「茶道のたしなみがないから」という方でも、公園などにある気軽に入れるお茶室では、菓子とお茶(薄茶)が手軽に楽しめます。
楽しむ際には、菓子について(菓子の銘、御製(つくられた和菓子屋さん)、なぜそのお菓子を選んだのか)などを聞いてみることをおすすめします。
お茶をふるまう側(亭主)は、季節、意匠、お客様のことをを考えてその菓子を用意してくれるのですから。
きっと、いろいろなことを知れば知るほどお茶が楽しめると思います。
また、お友達が遊びにくるときに用意するお菓子に自分で銘をつけてみたりしたら、普通のいつもの菓子が一気に特別なものになりますよね。

(おまけ)和菓子屋一炉庵

今週の街散歩で発見した和菓子屋さん「御菓子司 一炉庵」さん。

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東大からほど近い、東京都文京区向丘にあります。
包みの紙に明治36年が創業!と書いてあります。
すごいです!
場所が、明治の文豪たちが住んでいたあたりなので、近くにお住まいだった夏目漱石さん、森鴎外さん、石川啄木さんなどがもしかしたら食していたかもしれないと思うと嬉しくなります。
銘は「かち栗」と「秋明菊」(記憶が確かではないのですが)でした。

私が、この和菓子と一緒にお茶を飲むときに合わせるお茶碗を考えるなら、
かち栗・・・渋いザラッとした土の手触りがしそうなお茶碗
秋明菊・・・華やかな絵柄のついた京焼のお茶碗
と、菓子とダブりそうなお茶碗をつかってみたいです。

参考文献
夏の企画展「和菓子の歴史展」虎屋文庫
NHKテレビテキスト 趣味工房シリーズ「彩りの和菓子 春紀行」和菓子の歴史 青木直己談より

直伝 和の極意 彩りの和菓子・春紀行 (趣味工房シリーズ)

直伝 和の極意 彩りの和菓子・春紀行 (趣味工房シリーズ)